研究課題/領域番号 |
08041039
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
江口 一久 国立民族学博物館, 第3研究部, 教授 (90045261)
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研究分担者 |
井上 亮 大阪女子大学, 人間関係学部, 教授 (30176458)
PHILIPS John 弘前大学, 人文学部, 助教授 (70292133)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 西アフリカ / 多民族社会 / 共生 / 生業差 / 言語文化 / 独立 / 国民社会 / 冗談関係 / 奴隷制度 / 部族関係 / 部族共存 / カヌリ族 / フルベ族 / ハウサ族 / 呪術 |
研究概要 |
西アフリカの村落、とりわけ、都市においては、多数の民族が共存している。西アフリカには、間違いなく千以上の民族がひしめきあっている。植民地統治時代からアフリカは、部族戦争がたえまなくおこっている野蛮な土地であると宣伝されてきたが、実際には、それは、出鱈目だということがわかる。実際には、人々は、おたがいのアイデンテティーをまもりながら、平和に共存している。これも、時代によってかわってきた。十九世紀から二十世紀のはじめまでは、奴隷貿易の影響をうけて、西アフリカのさまざまなところで奴隷狩り、略奪戦争がおこった。しかしながら、それは、部分的なのであって、西アフリカ全体からみれば、人々は、工夫をしながら、共存の方法を構築してきたといえる。例えば、本研究の対象となったボルヌ帝国におけるフルベ族とカヌリ族の冗談関係、つまり、交差イトコ関係の存在があげられる。また、北部ト-ゴにおける、フルベ族とモバ族の関係があげられる。 西アフリカの諸国は、1969年代に独立をはたす。独立以来、村落にすむ人たちのおおくは、都市に流入した。都市は、以前にまして、多民族的社会になった。かれらは、おたがいに自分たちの専門をいかしつつ、いわば、ギブ・エンド・テイクの協力体制を築いていった。たとえば、モフ族は、建築技術をもつので、乾期のあいだは、都市で家をつくる。ニャムニャム族のなかには、占いを専門にする人がいるので、他の民族のためにも、占いをしている。カヌリ族は、染め物をする。 西アフリカ文化の基本は、口頭的である。すなわち、かれらは、文字をつかわなく、口だけで、言語生活をいとなむ。こうしてできあがった文学を口頭文学という。西アフリカの口頭文学をよくしらべると、部族関係をしめすような表現にであうことができる。このような文学のなかでの表現には、たいへん誇張された表現があらわれる。けれども、かれらは、多民族に対して暴力をつかうのは、ほとんどない。その辺が、西アフリカ文化の味噌をいえるものである。おたがいが、おたがいをけなしたり、批判したりするけれども、実際の暴力を行使しないのである。そのような点から、かれらの生活をみれば、かれらは、平和的共存に最大のどりょくをはらっているようにおもえる。
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