研究分担者 |
塚越 哲 (塚越 括) 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (90212050)
田中 次郎 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (30167499)
和田 恵次 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (80127159)
向井 宏 北海道大学, 理学部, 教授 (00013590)
山口 寿之 千葉大学, 理学部, 助教授 (10101106)
KING R.J. ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア), 助教授
SWANSON K.M. カンタベリー大学(ニュージーランド), 講師
ROSS R.M. 静岡大学, 理学部, 助手 (70252161)
阿部 勝己 静岡大学, 理学部, 助教授 (80151091)
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研究概要 |
日本列島沿岸およびオーストラリア・ニュージーランド海域には,分類学上,きわめて近縁な甲殻類が存在する。これらの類似性と近縁性を解明し,生物地理の成立過程を明らかにすることを目的としている。 3ケ年の現地調査で,介形虫類は本地域のほぼ全域(沿岸部)から試料を得たが,他の分類群は地域が限られた。この種の研究は固体の抽出,分類学的検討に時間を要するため,これまでになされた研究はその一部にすぎない。これらの標本に基づいて,今後引き続き分類群ごとの詳しい研究がなされる予定である。以下には,これまでになされた結果の一部を報告する。 介形虫類:沿岸より含介形虫試料307点を採取した。ニュージーランドを除くオーストラリアについて,個体の抽出と分類がほぼ完了し,生息環境と群集解析が行われ,気候区分に対応した生物地理区の存在が明らかにされた。北半球と関連づけた特定種の形態解析および生化学的検討は続行中である。 蔓脚類:クロフジツボ類4種の生態および形態解析が完了し,mtDNAの塩基配列から系統関係を明らかにすると共に,赤道を挟んで南北に分布する両集団の種分化過程が考察された。 十脚類(エビ):海草分布と極めてよく一致し,低から高緯度に向かって多様度が減少し,さらに南極海では「もえび」科に替わって「テナガエビ」科が出現することが知られた。詳しい種の同定は目下継続中である。 十脚類(カニ):スナガニ科の生息特性を分類および地理学的に類型化し,その行動様式とmtDNAの塩基配列から種分化と系統関係を明らかにした。 海藻類:アヤギヌについて,日本種との生殖的和合性を検討し,その分化過程を考察した。またスギモク属について分類学的類似性と系統学的検討を行なった。
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