研究分担者 |
PAPNAVASIT N チュラロンコン大学, 海洋学部, 準教授
仲宗根 幸男 琉球大学, 教育学部, 教授 (60044913)
鹿野 秀一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70154185)
鈴木 孝男 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10124588)
PAPHAVASIT Nittharatana Chulalongkorn Univ., Faculty of Science, Assocated Prof.
PAPHAVASIT N チュラロンコン大学, 海洋学部, 準教授
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研究概要 |
マングローブ湿地における底生動物の群集構造と多様性の解明のために,タイ国,サムットソンクラン県クロン・コンのマングローブ湿地で,マングローブ林の前面の干潟から林内に向けてトランゼクトラインを設定し,環境因子と底生動物群集の調査を平成6年度、平成7年度の国際学術研究に引き続き1996年も行った。 1.底土の有機物含有量と炭素・窒素濃度は,干潟よりも林内で高い値を示したが,間隙水中の窒素やリン等の無機塩類濃度は林内で低かった。1994年に干潟に植林された地点を除き,全体的に見ると,環境因子は3年間を通じて大きな変化は認められなかった。 2.底生動物の密度は3年間で増加の傾向が認められた。特に,干潟や村民がマングローブの苗木を植林した地点では年を追って多毛類の1種(Hypsicomus sp.)やタナイス類の1種(Apseudes sp.)が顕著に増加し,これに伴って,多様性指数を減少させた。一方,林内では底生動物群集の密度,種数,多様性指数は干潟に比べて比較的安定していた。 3.植林された地点では,その後2年で樹高が5mの林に育ちつつある。ここでは底土の有機物含有量と炭素・窒素濃度がこの3年間に増加し,干潟と林内における値の中間の状態を示した。これに伴って,底生動物の密度や出現種数が増加した。 4.PVC製のポールを設置し,植林したマングローブ苗木の生育を阻害する要因のひとちに挙げられるフジツボ類の加入・定着を追跡調査した。フジツボ類の定着と成長は10月から翌年5月までの間に顕著であった。 5.伐採された地点と手つかずの林における底生動物群集の比較から,健全な林が底生動物群集の多様性の維持に重要であることが明らかになった。また,3年間にわたる調査結果についての詳細な報告書を作成した。
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