研究分担者 |
北村 系子 森林総合研究所, 生物機能開発部・生態遺伝研究室, 農林水産技官
林 一彦 大阪学院大学, 経済学部(生物学), 助教授
高須 英樹 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (90108001)
大原 雅 東京大学, 教養学部, 助教授 (90194274)
森田 龍義 新潟大学, 教育学部, 教授 (30115084)
UTECH F.H. 米国カーネギー自然史博物館植物部門, 主任研究員
村上 哲明 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60192770)
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研究概要 |
1996、1997年の過去2ケ年間にわたる北アメリカ東部および西部において採集されたアジア関連植物群の分子系統並びに集団レベルの遺伝的変異解析に関して得られた結果は以下の通りである。 (1)葉緑体DNAを抽出、matK遺伝子の配列を決定し、系統解析を終了した植物群は下記のグループである。Trillium(37spp.),Uvularia(5spp.),Erythronium(15spp.),Lilium(37spp.),Notholirion(1sp.),Nomocharis(2spp.),Fritillaria(15ssp.),Medeola(1sp.),Scoliopus(2spp.),Convallaria(1sp.),Clintonia(5spp.),Tulipa(2spp.),Veraturum(1sp.),Cardiocrinum(1sp.),Magnolia(25spp.),Michelia(2spp.),Liriodendron(2spp.)。カタクリ属、エンレイソウ科、ユリ連、ツバメオモト属、Uvularia属、モクレン属に関して分子系統学的解析を行い、系統樹が作成され、アジア産-北米産間の類縁関係が解析された。これらの植物群に関しては、平成8年度に採集したサンプルも併せて解析したものである。(2)アメリカブナ集団の遺伝構造解析については、平成8年度に加えてさらに3000個体のアイソザイム分析を行い、集団内の遺伝構造の解析を行った結果、ルート・サツカ-をもつ集団群ともたない集団群では繁殖様式の違いに応じた特定の遺伝子型の集中度に差異が見られた。また地理的分布については、南部の隔離集団にのみ見出せる遺伝子型変異ガ存在した。アパラチア・フォールラインに分布する集団群には分布の拡大と縮小を繰り返したと思える遺伝子型変異が見いだせた。(3)樹木のメタポピュレーションの遺伝構造の解析に関しては、アメリカブナ、ブナ、イヌブナ(後者の2種は日本産)を対象に比較解析をおこない、さらに比較のためにこれらの林床に生育する代表的な草本であるUvularia,Disporum,Maianthemum,Helonipsis属などのクローン植物の地域集団を解析した。樹木に比較して草本では旺盛な栄養繁殖から期待された単純な遺伝構造ではなく、一度繁殖に成功すると新しいジェネット由来の遺伝子型が確実にメタ集団内に広がり、遺伝的多様性が予想以上に高いことが判明した。
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