研究概要 |
オーストラリア東部と中南部でキク科シオン連およびハハコグサ連植物120集団のサンプルを採集し、現地を調査した。各集団で3部の標本を作成し、若いつぼみを固定し、DNA採集用葉と成熟種子を収集した。ハハコグサ連植物23属68種103集団とプルケア連植物3属6種8集団で染色体数を算定した。プルケア連植物が、全てx=10の基本染色体数をもつのに対し、ハハコグサ連植物では、基本染色体数がAngianthus属でn=13,12,6、Asteredia属でn=9,7、Erymophyllum属でn=13,11,8、Gnephosis属でn=11,8、Hyaloserma属でn=12,11,8、Lawrencella属でn=11,8、Millotia属でn=13,11,8、Myriocephalus属でn=14,11、Podolepis属でn=12,11,10,8,7,3、Pogonolepis属でn=6,5,4、Polycalymma属でn=14,8、Pycnosorus属でn=10,16、Rhodanthe属でn=11,10,8,7,5、Trichanthodium属でn=4,3、と著しく変異していた。また、シオン連のBrachyscome属でn=15〜2とCalotis属でn=8〜4とハハコグサ連同様に著しい異数的変化がみられた。このうち、主に外部形態に基づく分岐分析により、ハハコグサ連のWaitzia群としてまとめられた植物群とシオン連のBrachyscome群でMatK遺伝子の塩基配列を比較した。Asteredia属とWaitzia属を外群にPodolepis属8種の系統を解析した結果、以前、Helipterum属に含められていたPodolepis kendalleを除き、残りのPodolepis属は、単系統群にまとまった。また、Podolepis属内は、多年草でn=10をもつ群と、一年草でn=7,11,3をもつ2群に分かれ、前者は、P.canescensを除き、大型5個、小型5個の染色体を組み合わせた特徴的な2様相型をもっていた。 後者は、n=7をもつ種は大型で1様相核型をもつが、P.microcephalaはn=11で、大型4個と超小型7個の染色体を組み合わせた特徴的な核型をもち、大型3個の染色体をもつP.capillarisと同一のクラスターをつくった。ハハコグサ連Podolepes属とシオン連Brachyscome属のいずれにおいても染色体数の異数的減少と多年草から一年草への変化が強く相関していることが明らかになった。
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