研究課題/領域番号 |
08041184
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
木村 英作 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70153187)
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研究分担者 |
GUNAWARDENA エヌ ケイ Ruhana大学, 医学部, 講師
WEERASOORIYA エム ヴィ Ruhuna大学, 医学部, 助教授
藤巻 康教 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (10209083)
伊藤 誠 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (90137117)
GUNAWARDENA エヌ・ケイ Ruhuna大学, 医学部, 講師
WEERASOORIYA エム・ヴイ Ruhuna大学, 医学部, 助教授
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | バンクロフト糸状虫 / ジエチルカルバマジン / ネッタイイエカ / permethrin / 循環抗原 / 象皮病 / PCR / スリランカ |
研究概要 |
1.Matara地区における糸状虫症感染の実態 (1)Polhena、Madihe、Walgamaの3村における仔虫陽性率、患者発生率 【目的】 糸状虫症感染の実態を明らかにするとともに、将来の調査地域の設定、対策のための基礎データを得ること。 【結果】 (a)3村で3384名が調べられ、平均仔虫陽性率は5.1%であった。 (b)仔虫陽性率は男性が女性より高く、また高年齢者ほど高かった。 (c)臨床症状は2400名について調べられた。熱発作は123名(5.1%)に、リンパ浮腫・象皮病は64名(2.7%)にみられた。 (2)Walgamaの特定調査地域における循環抗原を指標とした糸状虫感染率 【目的】 糸状虫症の診断は従来もっぱら仔虫の発見に頼っていた。この方法では多くの低密度仔虫血症(low density microfilaraemia)を見逃す可能性がある。フィラリア循環抗原は生きた糸状虫が人体内に存在する場合にのみ陽性となるので、これを測定することにより正確な感染率を知ることができる。 【結果】 (a)循環抗原陽性率は20.7%で、血液塗抹法(7.9%)、Nuclepore filter法(11.3%)に比し極めて高かった。 (b)循環抗原の量は血中の仔虫数と強い関連があった。 (c)「循環抗原陽性かつ仔虫陰性」という、これまでに知られていなかった新しいカテゴリーに属する人々が多数存在することが明らかとなった。 2.ジエチルカルバマジン6mg/kg年1回投与の効果 【目的】 従来ジエチルカルバマジンは、1回6mg/kgとして12回投与することが原則とされ、WHOの勧告によって世界中でこの方法が用いられてきた。しかし最近、WHOは方向転換を決定し、年1回投与法を推奨するようになった。この方法は薬量が従来の12分の1と少ないため、医師などでも今だ効果を疑問視する者があること、またスリランカでは本法使用の経験がないことなどの理由により、この地区での治療効果を提示する必要があった。 【結果】 年1回投与により仔虫数は6か月後には治療前値の20%に、12か月後でも27%に低下していた。このレベルの仔虫数減少で、毎年治療を繰り返すならば、糸状虫症の伝播効率を加速度的に低下すせることが期待できる。 3.媒介蚊調査 (1)Matara地区の状況(吸血蚊数とその季節変動、糸状虫感染率など) 【目的】 Matara地区の糸状虫媒介蚊の感染状況を把握し、調査地域の選定に役立ってる。また、媒介蚊対策を評価するための基礎データを得る。 【結果】 (a)Culex quinquefasciatusが媒介蚊である。 (b)平均infection rateは4.1-4.9%、infectivity rateは1.2-1.3%であった。 (c)感染蚊は年間を通じて採集された。すなわち、糸状虫の伝播は雨期、乾期にかかわりなくおこっていると考えられる。 (2)殺虫剤permethrinで処理をしたカ-テンが媒介蚊に及ぼす影響 【目的】 Permethrin処理をした蚊帳がマラリアの伝播を著しく減少させることが報告されている。しかし、糸状虫症に関する報告はほとんど無い。また、蚊帳の使用習慣が無い地域では、カ-テンの処理が有効と考えられるが、これまでテストされていない。 【結果】 Permethrin及びlambdacyhalothrin処理のカ-テンをかけた家では、22週間にわたって有意に蚊の数が減少した。 4.基礎実験 (1)仔虫が宿主の循環器系に及ぼす影響(動物実験) 感染群で左心肥大を認めた。 (2)ジエチルカルバマジンとアイベルメクチンの血中濃度測定法の開発 ELISA法により、少量の血清で血中濃度が測定できるようになった。 (3)指尖からの濾紙採血によるフィラリア循環抗原測定法の開発 静脈血を用いないでも、指尖血濾紙採血法により良い結果が得られる。 (4)PCRを用いたWuchereria bancroftiとBrugia malayiの診断 両種が容易に区別できるようになった。 (5)仔虫の定期出現性と媒介蚊の吸血活動 仔虫と媒介蚊は、共にpeak hourが01:11amの周期性を示した。
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