マーシャル諸島共和国における甲状腺疾患の発生と分布

• 研究課題/領域番号: 08042001
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: がん調査
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 里見 進 東北大学, 医学部, 教授 (00154120)
• 研究分担者: 土井 秀之 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90188839) ; 藤盛 啓成 東北大学, 医学部, 助手 (50238622) ; 佐竹 正博 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (70147370) ; 標葉 隆三郎 東北大学, 医学部, 講師 (20192106) ; 西平 哲郎 東北大学, 医学部, 助教授 (50101142) ; TROTT KーR ロンドン大学, 医学部, 教授 ; BECHTNER G. ミュンヘン大学, 医学部, 助教授 ; 張 徳恒 白求恩医科大学, 基本外科, 教授 ; 田口 喜雄 東北大学, 留学生センター, 教授 (70004885) ; 木村 伯子 東北大学, 医学部, 助教授 (80142975) ; 大内 憲明 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90203710)
• 研究期間 (年度): 1996
• 研究課題ステータス: 完了 (1996年度)
• 配分額: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円); 1996年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
• キーワード: 甲状腺腫瘍 / 放射線被曝 / ビキニ事件 / がん遺伝子 / マーシャル諸島 / ヨード欠乏 / ヨード欠乏性甲状腺腫 / 甲状腺機能低下症 / 甲状腺癌 / 慢性甲状腺炎

研究概要

平成5、8年に行ったマーシャル諸島クワジェリン環礁およびマジュロ環礁の調査より以下の結果をえた。
(1)クワジェリン環礁の調査結果から、誕生年が1954年以前のマーシャル住民の甲状腺結節性疾患(触知結節)頻度は1954年時(水爆実験「BRAVO)施工年)の居住地とビキニ環礁からの角度に逆相関する。(2)FT3あるいはFT4が正常値以下であった者は0.5%、抗サイログロブリン抗体あるいは抗マイクロゾーム抗体陽性の者は2.5%であり、橋本病の頻度、抗体陽性の頻度は日本に比してかなり低い。(3)尿中ヨード排泄量は約1/3がWHO基準のModerate iodine deficiencyとなり、マジュロ住民は現在ヨード欠乏状態にあることが推定された。(4)住民の推定被曝量については共同研究者のProf.K-RTrottのグループが住民の生活歴、公表データ、Dr.S.L.Simonが1993年までに行ったマーシャル諸島の土中残留^<137>Cs量より算定を試みたが平成8年度中に完了していない。(5)穿刺吸引により採取した検体のK-ras onocogene、codon61の解析では異常は認められなかった。(6)1994年に手術された11例の手術切除標本の病理最終診断では乳頭癌5例、濾胞癌3例、微小癌2例であった。それらの6例についてp-53蛋白の検索を行い、4例に陽性所見が得られた。
以上より以下の示唆を得た。(1)その発生頻度の分布から放射線被曝が影響している可能性は否定できない。(2)病因にヨード欠乏が関与している可能性がある。(3)切除標本では濾胞癌の頻度が比較的多く、放射線被曝の他地域の経験と矛盾するように思われる。(4)チェルノブイリで観察されたK-ras遺伝子の異常は全く認められず、チェルノブイリとは異なった機序で発生している可能性が高い。

研究成果

• [文献書誌] Figinor,K.etal: "Prehiminery lndeical findings of the Marshall Islands. Natlanwide Thyroid Study." Excarpta Medica International Congress Serieis. 1103. 167-173 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Takahashi,T.etal: "An investigation into the prevalence of the thyroid dieases on Kunzinleits Atall,Mashall Islands." Health Physics. (in press). (1997)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Simon S.L.etal: "Fiadinge of the Nationarwide Radiation Study,Sammarg report. Prepared for the Cabinot of the Govarment of the RMOI" Ministry of Foreign Attairs,Maginro,the RM1, 52 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Fujimori K,Takahashi T et al: "Preliminary medical findings of the Marshall Islands Nationwide Thyroid Study. Nagasaki Symposium on Radiation and health" Excerptta Medica International Congress. 1103 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Takahashi T,Fujimori K,Trott KR et al: "An inverstigation into the prevalence of the thyroid disease on Kwajalein atoll, Marshall Islands" Health Physics. (1997)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Simon SL,Graham JC,Fujimori K,Takahashi T et al: Findings of the Nationwide Radiation Study. Summery report, prepared for the Cabinet of the Government of the Republic of the Marshall Islands, December. RMI Nationwide Radiological Study. Ministry of Foreign Affairs, Majuro, Marshall Islands, (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Takahashi T,Fujimori K,Trott K-R,et al: "An investigation into the prevalence of thyroid disease on Kwajalein atoll,Marshall Islands" Health Physics.(in press). (1997)
• [文献書誌] Simon SL,Graham JC,Fujimori K et al: "Fiadings of the Nationwide Radiation Study,Summary report,prepared for the Cabinet of the Goverment of the Repablic of the Marshall Islands" Ministry of Foreign Affairs,Majuro,Marshall Islands, 52 (1994)
• [文献書誌] Fujimori K,Takahashi T et al.: "Preliminary medical findings of the Marshall Iclands Natiliwide Thyroid Study" Elsevier,Amsterdam Excerpta Medica International Congress Sories 1103, 7 (1996)