研究分担者 |
EAVES Lauren ノッティンガム大学, 理学部, 教授
森藤 正人 大阪大学, 工学部, 助手 (00230144)
森 伸也 大阪大学, 工学部, 講師 (70239614)
谷口 研二 大阪大学, 工学部, 教授 (20192180)
三浦 登 東京大学, 工学部, 教授 (70010949)
HENINI Moham ノッティンガム大学, 理学部, 研究員
BETON Peter ノッティンガム大学, 理学部, 講師
MAIN Peter ノッティンガム大学, 理学部, 教授
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研究概要 |
平成8年度は,ウエットケミカルエッチング法,または,自己形成法を用いて量子ドットを作製し,それらの光学的・電気的測定を行った.また,量子ドットにおける電子状態を厳密対角化法を用いて計算するプログラムを作成し,量子ドットにおけるエネルギー緩和時間等の解析を行なった. GaAs基板上に作製したInGaAs/GaAs量子井戸構造を,電子ビームリソグラフィーとウエットケミカルエッチング法とを用いて,一辺が100nm程度の量子ドットに加工した.種々のサイズの量子ドットを作製し,そのフォトルミネッセンス測定を行なったところ,量子ドットの一辺の長さが小さい場合は,量子閉じ込めによる高エネルギーシフトが観測された.しかし,量子ドットの一辺の長さがあまり小さくない場合,低エネルギーシフトが観測された.この低エネルギーシフトの原因は,量子井戸構造における遷移エネルギーの井戸幅依存性の解析結果より,InGaAs層の歪みの緩和によると考えられ,そのことから,InGaAs量子ドットの遷移エネルギーのサイズ依存性の測定値を再現する簡単な経験式を導いた. 平成9年度は,実効的に結合量子ドット系とみなせる,強磁界下におかれた半導体超格子を流れるトンネル電流の測定およびその解析,InAs量子ドットの自己形成法を用いた作製とその強磁界下における光学特性の測定を行った.さらに,共鳴トンネル・スペクトロスコピー法を用いて,カオス的な電子軌道に対応するような量子状態の実験的・理論的研究を行った. 半導体超格子の成長方向に電界を印加すると,電子はワニエ・シュタルク局在するようになる.そのような状態に,さらに,電界に平行な方向に磁界を印加すると,面内の運動がランダウ量子化され,印加磁界が強い場合は,実効的に量子ドット列とみなせる.このような系におけるホッピング伝導の実験的・理論的研究を行い,以下のような点を明らかにした.(1)観測した電流の極小値から得られるフォノンの分散関係がバルク音響フォノンの分散に良く一致することを確かめた.(2)井戸間の位相因子による反共鳴現象と,井戸内の位相因子による反共鳴現象との整合性に起因する現象を見出した.(3)準弾性的トンネル電流ピークの温度依存性を明らかにした.
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