単一胚細胞レベルの分子発生工学による両生類の誘導相互作用の全体像の解明

• 研究課題/領域番号: 08044210
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 共同研究
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 野村 一也 九州大学, 理学部, 助教授 (30150395)
• 研究分担者: GUMBINER Bar スローンケタリング記念癌センター, 細胞生化学・生物物理学部門, 教授 ; GERHART John カリフォルニア大学バークレー分校, 分子細胞生物学科, 教授 ; 但馬 達哉 熊本大学, 理学部, 助手 (00216962) ; 弓削 昌弘 福岡女子大学, 環境理学部, 講師 (80220523) ; 景浦 宏 福岡大学, 理学部, 助教授 (70194694) ; JOHN C Gerhart University of California at Berkeley, Department of Molecular & Cell Biology, Pr ; BARRY M Gumbiner Memorial Sloan-Kettering Cancer Center, Cellular Biochemistry and Biophysics Pro ; BRIEHER Will スローンケタリング記念癌センター, 細胞生化学・生物物理学部門, 助手
• 研究期間 (年度): 1996
• 研究課題ステータス: 完了 (1996年度)
• 配分額: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円); 1996年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
• キーワード: アフリカツメガエル / 表層顆粒 / デタ-ミナント / カドヘリン / 細胞接着 / 誘導 / レクチン / GPIアンカー

研究概要

本研究では背腹軸形成信号伝達系の制御過程の全体像の解明を目標とした。W.Brieher博士とB.Gumbiner教授は背腹軸形成の重要分子がβ-カテニンであり膜上のカドヘリンと相互作用していることを明らかにしていた。弓削は背腹軸形成を引き起こす細胞質デタ-ミナントの精製を進め、カテニンとの関係を検討した。野村らは、カドヘリンと相互作用する全く新しいタイプの細胞接着分子が、ヒトB型血液型糖鎖を活性中心に含むGPIアンカー型レクチン糖蛋白質として膜上に存在し、カドヘリンを制御していることを示した。(GPIアンカー型レクチンは初めての発見。phosphatidylinositol anchored lectinという意味でPi-lectinの名称を提唱)これは多精の拒否で重要な表層に局在する表層顆粒レクチンの相同分子で、景浦らの表層移植の実験結果から考えて、表層を介した背腹軸形成機構の解明に新機軸をもたらすと考えられる。但馬は、背腹軸形成に重要な関与をしているXBカドヘリンの遺伝子を全長単離し、この分子の誘導における役割をKellerサンドイッチ法等を利用して明らかにした。また但馬はXBカドヘリンのドミナントネガティブ法による機能阻害により、原腸胚形成の形態形成運動と誘導に対するカドヘリンの役割を評価し、新発見のPi-lectinが誘導的相互作用に重要な役割を果たしている可能性が高いことを示した。複合糖質は分化の誘導に積極的に関与しているが、クラゲの分化転換にかかわる糖鎖構造がカエルにも存在することも判明し、カエルでの誘導における役割も今後検討する。またGerhartやRowningらは表層のβ-カテニンが背側化のマスター分子であると考えており今後のさらに緊密な国際共同研究によってキメラやトランスジェニックカエルを利用し、Pi-lectinの背腹軸形成制御機構を明らかにする。

研究成果

• [文献書誌] Kazuko Nomura: "Ca^<2+> dependent cell-cell adhesion of frog (Xenopus laevis) embryonic cells mediated by human blood group B active glycoconjugates" (in preparation).
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Tatsuya Tajima: "Dominant negative knock out of XB-cadherin" (in preparation).
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Kazuko Nomura: "Ca^<2+> dependent cell-cell adhesion of frog (Xenopus laevis) embryonic cells mediated by human blood group B active glycoconjugates" (in preparation).
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Tatsuya Tajima: "Dominant negative knock out of XB-cadherin" (in preparation).
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より