研究課題/領域番号 |
08044232
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井樋 慶一 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60232427)
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研究分担者 |
WATSON Stanl Mental Health Research Institute, Univers, Professor
WATSON Stanley J Mental Health Research Institute University of Michigan, Professor
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1996年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | CRF / バゾプレッシン / 遺伝子 / mRNA / イントロン / in situ ハイブリダイゼーション / 視床下部 / ノルエピネフリン / ストレス / hnRNA / 脳内微量注入法 |
研究概要 |
視床下部室傍核(PVN)において産生されるcorticotropin-releasing factor(CRF)は視床下部-副腎皮質系を介したストレス反応において中心的役割を担っている。CRFはPVNの小型細胞領域(parvocellular division)で産生され正中隆起における神経終末から下垂体門脈系に分泌され下垂体におけるACTHの分泌、合成を刺激する。一方、バゾプレッシン(VP)はPVNの大型細胞領域(magnocellular division)および小型細胞領域の両者に存在するが、ラットおよびヒトPVNの小細胞領域においてVPがCRFと同一ニューロンに共存することが明らかとなった。VPもACTH分泌活性を有し、少なくとも或る条件下ではCRFと共に分泌されることなどから生理的なACTH刺激物質であることが強く示唆される。脳内の様々な領域から視床下部のCRFニューロンへの投射神経路が存在し、これらの神経路によって伝達されたストレス情報が最終的にCRFニューロンにおいて統合される。CRFニューロンへの投射神経路のうち最も良く知られているのは脳幹部に起始核を有するカテコールアミン作動性ニューロンである。殊にCRFニューロンの存在する小細胞領域への入力は主としてA2細胞群に由来することが知られている。井樋らは最近無麻酔ラットPVNに直接ノルエピネフリン(NE)を微量注入し、CRF mRNA発現の変化をNorthern blot法にて検出することにより、NEがCRF絵電子発現を刺激することを明らかにした。CRF遺伝子発現調節機構を研究する場合、Northern blot法によりCRF mRNAレベルの変化を検討する方法にはいくつかの制約がある。第一に、細胞質内CRF mRNAレベルはCRF遺伝子転写のみならず、CRF mRNAの安定性によっても規定されるため、CRF mRNAレベルの変化は必ずしも転写レベルでの活性化を意味しない。次に、Northern blot法ではRNA抽出の段階で組織が破壊されるため、CRF遺伝子発現の局在(どの細胞領域においてCRF遺伝子発現の変化が認められるか)を明らかにすることができない。殊にCRFニューロン内でCRF遺伝子およびVP遺伝子の発現がそれぞれいかなる調節を受けているかを検討するためにはこれら遺伝子発現の局在を明らかにする必要があり、この目的のためにはNorthern blot法は適していない。この問題点を克服するために最近SJ WatsonらはCRF遺伝子のイントロン部に相当する^<35>Sリボプローブを作製し、これを用いたin situ hybridization法によりCRF遺伝子発現の変化を転写レベルで定量化することに成功した。本研究においては、東北大学、井樋慶一およびMichigan大学SJ Watsonの共同研究により、無麻酔ラットPVNにNEを微量注入し、イントロンプローブを用いてCRF hnRNAの変化をin situ hybridization法にて検出、定量化することにより、NEがCRF遺伝子発現を転写レベルで刺激することを初めて明らかにした。更にNEのVP遺伝子発現への効果をVPイントロンプローブを用いて検討した。
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