研究概要 |
本研究では成熟リンパ球を標的とするヒトレトロウイルス感染とIRFファミリーメンバーとの関連に焦点をあてた.明らかにすることができたのは以下の通りである.. 1)IRF-1遺伝子欠損マウスの解析からIRF-1はNK細胞の発生と分化に必須の転写因子である(J.Exp.Med.184:2043-2048,1996,J. Exp. Med., 187, 967-72, 1998). 2)IRF-1遺伝子欠損マウスは、ヒトレトロウイルス感染が疑われている多発性硬化症の実験モデルである実験的アレルギー性脳脊髄炎において抵抗性を示す(J. Exp. Med., 185, 231- 238, 1997). 3)予備実験で示されたようにLSIRF/IRF-4はヒトT細胞腫瘍においてはHTLV-I巻Sン細胞特異的に発現しており、患者末梢血においてはリンパ球の白血化と強い関連がみられ、予後、および治療のよいマーカーとして応用できることが示された(投稿準備中). 4)LSIRF/IRF-4のHTLV-Iにおける恒常的な発現の機序を解析した結果、その転写開始点-60から下流に調節エレメントが存在することが明らかとなった(投稿準備中). 5)ヒトレトロウイルスと7つのIRFファミリーメンバーの発現を検討したところICSBPがヒトレトロウイルス感染細胞では低下していることが明らかとなった(未発表データー). 6)LSIRF/IRF-4のリンパ球増殖における役割を遺伝子変異マウスを作製して解析した結果、LSIRF/IRF-4が成熟リンパ球の機能発現に必須の転写因子であり、遺伝子欠損によって液性免疫、細胞性免疫に重篤な障害をおこした免疫不全マウスになる(Science, 275, 540-543, 1997).
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