研究概要 |
平成9年8月にカザフ国セミパラチンスク市カザフスタン放射線医学生態学研究所を訪れ、相手側研究者から白血病及び甲状腺癌発生の実態につき情報を収集し意見の交換を行った。今回はまず1985年〜1996年の白血病発症のデータが入手可能となった。核実験場の東側にあたる汚染地区は、最高度汚染地区(1945年〜1986年の被曝蓄積線量が100〜500cSv)、高度汚染地区(同35〜100cSc)、中等度汚染地区(7〜35cSv)、低汚染地区(0〜7cSv)にわけられる。高度汚染地区(Abeisky区,Beskaragaisky区,Jana-Semiski区)と中等度汚染地区(Semipalatinsk市,Charski区,Jarminsk区,Ayaguzski区,Taskeskenski区,Borodulihinski区,Novoshulbinski区)における白血病発症数は、21人(1985年),10(1986),13(1987),13(1988),12(1989),19(1990),14(1991),9(1992),14(1993),15(1994),10(1995),1(1996)であった。これらの症例についての形態的病型分類、臨床的特徴等について解析中である。 次にセミパラチンスク市中央病院及びセミパラチンスク小児病院を訪問し、最近の1年間の白血病症例のカルテをレビューし、血液標本の形態的分類を行った。またp53,N-ras等の癌抑制遺伝子や癌遺伝子についての分子生物学的解析用のサンプルを収集した。さらに血液病担当医師及び血液検査技師の血液学的知識・技術水準の向上のための教育・研修計画についての意見交換を行った。 甲状腺癌については、セミパラチンスク市中央病院で外科手術例の増加が見られるとの情報は得ているが、詳しい資料の入手は出来なかった。本病院の外科部長は、来年度、我々の研究所の客員教授に就任予定であるので、共同研究の推進が期待される。
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