研究概要 |
本研究の目的は視床下部のオキシトシンニューロンおよびバゾプレッシンニューロンにおけるカルシウム結合タンパクの機能の解析である.今回調べたカルシウム結合タンパクは,特定の神経細胞に存在すると言われているカルレチニンとカルビンヂンである.我々はラット視床下部において,三重免疫蛍光法と共焦点レーザー顕微鏡を用いて次のことを明らかにした.1)オキシトシンニューロンのうち視索上核に存在するものはカルレチニンとカルビンヂンの両方を持っていた.しかし,室傍核に存在するオキシトシンニューロンはこれらのカルシウム結合タンパクのどちらも持っていなかった.2)またバゾプレッシンニューロンは,視索上核と室傍核のどちらに存在するものも,これらのカルシウム結合タンパクを持っていなかった.以上の結果は,視索上核のオキシトシンニューロンとバゾプレッシンニューロンはカルシウム結合タンパクの存在様式に違いのあることを示している.オキシトシンニューロンとバゾプレッシンニューロンは,それぞれ異なる電気生理学的特徴を持っていることが知られている.それぞれの電気生理学的特徴は細胞内カルシウム濃度の変動パターンの相違によると考えられている.今後は,オキシトシンニューロンとバゾプレッシンニューロンの電気生理学的特徴にカルシウム結合タンパクの存在が関与するかについて検討していきたい.
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