研究課題/領域番号 |
08044333
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
構造生物化学
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
宮田 敏行 国立循環器病センター研究所, 脈管生理部, 室長 (90183970)
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研究分担者 |
SADLER J.Eva Washington University School of Medicine, 教授
日根 智恵美 国立循環器病センター研究所, 脈管生理部, 室員 (10280819)
小亀 浩市 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室員 (40270730)
加藤 久雄 国立循環器病センター研究所, 病因部, 部長 (80029959)
EVAN Sadler Washington University School of Medicine, 教授
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1997年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1996年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 動脈硬化 / 血管内皮細胞 / ホモシステイン / クローニング / RTP / Herp / リン酸化蛋白質 / 血栓 / 酸化脂質 / 先天性欠損症 / 分子シャペロン / 遺伝子解析 |
研究概要 |
ホモシステインやリゾホスファチジルコリンという動脈硬化性刺激により発現が上昇する遺伝子を同定し、2つの新規遺伝子(RTPとHerp)のcDNAクローニングを完了した。PTRは394アミノ酸から成る新規細胞質蛋白質であった。RTPはリン酸化蛋白質であり、8ヶのリン酸化部位を持っていた。RTPは還元剤や糖鎖合成阻害剤で発現誘導された。mRNAはあらゆる組織に発現していたが、抗体を用いた実験では腎近位尿細管と小腸微絨毛に強く発現していた。Herpは391アミノ酸から成る新規膜蛋白質であった。細胞内局在性を抗体で調べたところ、小胞体に局在していた。また、Green fluorescence proteinとのキメラ蛋白質として発現させ細胞内局在性を調べたところ、やはり小胞体に検出された。Herpの細胞内結合蛋白質をTwo-hybrid法で検索しHerp interacting protein(HIP)をクローニングした。HIPは236アミノ酸残基から成る。HIPはNeuroendocrine specifie proteinという小胞体局在性蛋白質にホモロジーを示した。このことは、Herpは小胞体局在蛋白質HIPと結合して小胞体に局在していると考えられた。 ホモシステイン刺激によりGRP78,RTP,Herpが発現上昇したが、これらの遺伝子はいずれも還元剤や糖鎖合成阻害剤で発現が誘導された。GRP78は小胞体局在性分子シャペロンである。そこで、ホモシステインが他の分子シャペロンの発現を誘導するかを調べた。その結果、ホモシステインは小胞体分子シャペロンを選択的に誘導し、細胞質分子シャペロンは誘導しなかった。小胞体分子シャペロンは小胞体内にunfoldした蛋白質が蓄積することにより発現上昇することが知られている。したがって、内皮細胞をホモシステイン処理することにより、細胞内のレドックスポテンシャルが変化し、小胞体内のジスルフィド結合の形成障害を通して小胞体内にunfoldした蛋白質が蓄積するものと考えた。本知見は、高ホモシステイン血症患者が示す動脈硬化症、血栓症、知育遅延などの原因を説明するものと考えた。
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