配分額 *注記 |
124,000千円 (直接経費: 124,000千円)
1998年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1997年度: 25,000千円 (直接経費: 25,000千円)
1996年度: 87,000千円 (直接経費: 87,000千円)
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研究概要 |
銀河史の解明に鉄以上の重元素は遺跡として重要なため初期宇宙に近い恒星の重元素観測が現在精力的に行われている。ところでこれら恒星は軽原子核(A<30)に比し鉄の量が極めて少ない低金属星でありそこでは軽原子核が中性子毒として作用し重元素合成を阻害する可能性がある。そこで低金属星での重元素合成模型を構築する上でこれら軽原子核の恒星内温度に相当するkeV中性子による中性子捕獲反応断面積の測定が不可欠である。本研究の目的は特に重要なD,^6Li,^7Li,^<13>C,^<16>O,^<18>O,^<20>Ne,^<22>Neの中性子捕獲反応断面積を恒星内温度(10-500keV)にわたり高精度で測定する点にある。研究計画としては我々が独自に開発した即発不連続γ線検出法を更に発展させる事とし、そのため高感度・高効率の円筒型NaI(T1)検出器系及びNe等の気体標的を高S/N比で測定できる液化装置を製作した。その結果従来に比しS/N比が4倍以上、検出効率2倍の測定器系が整備でき、又中性子実験に適した高S/Nを持つ液化装置が製作でき上記核種の捕獲断面積測定は成功した。その結果、^7Li,^<13>C,^<16>O,^<18>O,^<20>Ne,^<22>Neは低金属星中で中性子毒として重要な働きをする事が初めて指摘できた。又Dについては現在大問題になっている初期宇宙でのD問題におけるD破砕反応評価に重要な寄与をした。更に^6Liについては通常のs-波中性子捕獲から予想される断面積のエネルギー依存性と異なる振る舞いが初めて得られた。これは中性子捕獲後の連続状態にs-粒子状態が存在する可能性を示唆し天体核・原子核両面で重要な結果である。^7Liについては^8B太陽ニュートリノ問題に関連して従来の^7Be(p,γ)^8B反応実験の問題点を解明できた。 またKEKの核破砕反応で得られるkeV中性子束を初めて測定する事に成功、これら中性子が天体核物理研究に極めて有効である事を明らかにした。そしてこの結果をもとにセルンのn_TOF計画を推進天体核物理研究を更に展開できる目途が立った。
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