研究課題/領域番号 |
08206203
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤本 和貴夫 大阪大学, 言語文化部, 教授 (70029734)
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研究分担者 |
城野 充 大阪大学, 言語文化研究科, 助手 (20263337)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ロシア / 地方政治 / 沿海地方 / ナズドラチェンコ / テレビ / エネルギー危機 |
研究概要 |
藤本はロシア極東地方の沿海地方を中心とした地方政治と中央との関係が96年に入って転換しつつあることを明らかにした。連邦崩壊後、極東地方は中央から自立することによって改革を進めようとしてきた。しかし経済改革の停滞による社会の混乱のなかで、極東地方はその歴史的な負の遺産から中央の補助金なしでは改革を進めることが困難であることを認識するようになりつつある。そのなかで最後まで中央に対する自立的な姿勢を堅持してきたのが沿海地方である。ナズドラチェンコは、95年12月の知事選に圧勝して再選されることで、中央にたいする強い足場を築いたように見えた。しかし96年に入ると沿海地方は燃料エネルギー危機と労働者のストライキに見舞われる。 この地方での彼の支持基盤は、大国主義、民族主義、秩序維持を期待する人々であった。外務省を敵にまわした知事のロ中国境協定破棄の要求などは、中央に対する批判を明確にしつつ沿海地方の利益を擁護できる人物への期待に応えるものであった。中央政府の一部もこの地域の地政学的重要性を認識して対応してきたものと考えられる。 ところが96年夏以降、かつてナズドラチェンコの工作で大統領によって解任されたチェレプコフ・前ウラジオストーク知事の復権に示されるように、関係が変化しつつある。その背後にはチュバイス大統領府長官の存在がある。これまで一枚岩的支配が続いてきた沿海地方にとっては政策論争のダイナミックスが生まれるという意味で歓迎される。 他方、城野はロシア公共テレビが放送する「極東関連二ュ-ス」をフォローし、これを文字テクスト化した。特にエネルギー危機と労働者に対する賃金未払い問題の責任の所在をめぐる「連邦中央政府か、地方政府か」については、中央と地方の視点が混在し、連邦政府の影響下にある中央ジャーナリズムにとってもこの問題の取り扱いが困難なものであることを指摘できる。
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