研究概要 |
1.香道伝書の編年の基準とすべき確実は伝書を決定するため,従来知られているものを含めてその検討を行い,信頼できる伝書を選び出した.それは「香道の古伝書」(儀礼文化23号.平成8年)として発表した. 2.香道・茶道・花道の基本伝書とされる「君台観左右帳記」は,その重要性にもかかわらず成立に関する議論があまり行なわれていない.このためまずこの研究を行うこととして,諸本の整理を行った.その結果,新発見の重要写本が多く出現し,特に天文5年生本という最古写本が出現した.これは「国華」に発表予定である。 3.「君台観左右帳記」の画人録の部分を統計分析した。それは,写本間の対称差人数を数量化4類で処理したもの,共通部分順位相関を同様に処理したもの,それを総合する新しく定義した“欠損値のある場合の順位相関"を用いたものからなる。写本の時代的推移がよく表現されることがわかった.これは平成9年3月11日のシンポジューム「人文学における数量的分析(2)」において発表した.
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