研究概要 |
本年度は基本ツールの改善と応用のための解析ツールの整備に重点をおいてソフトウエア開発を進めた. 1.「かたち」の解析:図形の対称性解析のための処理手順とプログラムの改善をさらに進め,また,応用のために,対称性にもとづく図形の記述と解析の方法を検討した.また,その応用として,図形のくびれの数量化の方法を検討し,主形状,局所幅関数,くびれ関数といった図形記述の方式を開発した.今後はソフトウエアの改良と,図形の記述.解析の方法の実問題への応用について検討していく予定である. 2.色の解析:前年度に引き続き,コンピュータが色を人間的知覚に合わせて表現し,解析するためのソフトウエア開発を行った.とくに,カラー画像入力機器において資料標本の照明条件やイメージセンサの分光特性のために色情報が変質する問題を中心に検討した.すなわち,前年度までに,コンピュータによる色情報の解析に先だって資料標本固有の色情報(色反射係数)を復元するツールの開発が必要なことが分かってきた.前年度はそのために色相スケールを同時撮影する方式を検討し,RGB三原色による表現からマンセル表色系(HSV表色系)へ変換した後,ハフ変換(画像認識の一手法)を用いた自動的な処理手順を構成した.そして,予備実験の結果,蛍光灯のように自然色に近い照明のもとでは色補正が可能であるが,一方,白熱電球による照明のもとでは十分な補正は行えないことが分かった.そこで,本年度は色の3要素である色相,明度,彩度のすべてについての補正を試みた.市販のカラーチップを用いて製作した各スケールの入力の結果,色相と明度の補正が可能なことが分かってきた.一方,彩度については,入力したスケール上においてカラーチップの実測彩度値が大幅に変動していることが分かり,そのため,彩度補正は不可能であった.今後は,さらにこの問題について検討していきたい.
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