研究概要 |
現在構築中のデータベース「石器データベース」は,原石は主に黒曜石からなり,他に頁岩,珪岩(チャート),凝灰岩,流紋岩,サヌカイト,安山岩,砂岩なども含まれている。石器はこれらの原石を材料にして,そのまま原石を用いて作るもの,磨いて作るもの,石を打ち割って(剥離して)作るものなどに分類される。 これまでの研究では,これらの石の表面形状を調査し,解像度,色相情報,剥離情報,研磨情報,透明部の画像化,三次元情報,立体視など,考古学的に意味のある情報(特徴)の獲得を目指した計測手法を実験的に検討した。そして黒曜石を対象に「モアレ手法による高精度三次元画像計測」,「立体視手法による高解像度三次元画像計測」を行った。 本年度は,これらの成果をもとに考古学データベースを実際の現場で計画されている人の意見を参考に,次の3点に目標を定め実験的に検討を行った。 (1)従来,考古学においては,発掘に伴う石器等のデータは孝古学者が現物を見て,その特徴部に注目して線画でスケッチしている。カメラ等から撮影した画像から画像処理等でどこまで特徴が表現されるか,人間が行っているスケッチとどの程度の違いがあるか,などを明確にした。 (2)石器データベースの実現に向けて,人文科学者の利用方法,利用形態などを加味しながら具体的なシステム(石器データベースシステム:SDBS[シドバス])の設計を行った。 (3)出土した遺物データを対象として,その考古学データベースから意味のある情報の抽出方法をクラスタ分析手法を用いて検討を行った。この対象としては,石器を用いず,一乗谷朝倉遺跡から出土した染付の腕や皿を例に行った。
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