研究分担者 |
井伊 雅子 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (50272787)
秋山 太郎 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (40167854)
高橋 睦春 通商産業省, 調査統計部, 課長補佐(統計研究担
本郷 茂 青山学院大学, 経済学部, 教授 (90082867)
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研究概要 |
この研究は,日本企業の特性を規定する要因を分析し,その企業特性を明示する効果的な統計調査のあり方を研究することを目的とする.平成8年度においては「企業活動基本調査」の集計結果をもとに,以下の分析結果を得た. (1)企業の多角化は産業格付の移動を惹き起し,産業別集計値に基づく産業動向の的確な把握を困難なものとする.このため,(i)従来の産業別集計値が実態とどれだけ乖離しているのか,(ii)現行の事業所をベースとした産業格付の手法をそのまま企業に適用することが妥当であるのか,(iii)産業を構成する企業の移動を前提とした場合に,異時点間での産業特性の比較を行うための適切な方法は何か等について考察した. (2)各種の集計データを分析することにより,(i)売上高規模の増減と,常時従業者の増減の間に正の相関が見られると,(ii)研究開発に従事する者の相対的比率が一定水準(8%前後)に達すると,企業は研究開発費の増加によって代替する傾向があること,企業のリストラの過程では,研究開発従事者/常時従業者の比率が相対的に高まっていること,(iii)研究開発がもたらす営業利益への限界的効果は逓減していること,(iv)親会社・子会社の有無に関する集計データから,子会社の有無にかかわらず,親企業を有する場合の利益率はそうでないときよりも低いこと,(v)子会社を有する企業の研究開発費比率がそうでない企業よりも大きいこと,(vi)取引関係と資本関係が同時に強い場合には,投資が多く過小投資の問題を緩和しているが,そこからレントが発生しているとはいえないこと,(vii)長期貸付ではなく出資・有価証券による資本関係によって正のレントが生じていること等が明らかになった. これらの結果を踏まえて,企業レベルのデータをもとに,日本企業の研究開発支出と企業規模,企業間関係(親・子会社関係),参入・撤退,企業の新たな事業分野・地域(海外を含む)への参入・退出などの決定要因の分析のための理論モデルの検討と実証研究を試みた.
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