研究課題/領域番号 |
08211221
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 亮一 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20162034)
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研究分担者 |
大沢 健夫 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (30115802)
土屋 昭博 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (90022673)
佐藤 肇 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (30011612)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 正則曲線の値分布 / 有理点の分布 / 値分布論的関数 / Vojtaの辞書 / ラドン変換 / アーベル多様体 / 第3主要予想 / 対数微分の補題 |
研究概要 |
ここ数年、筆者が取り組んでいる問題のひとつに、複素射影代数多様体への正則曲線の値分布の理論と、数体上定義された射影代数多様体の有利点の分布の理論を統一的に説明する幾何学を建設することがある。これはVojtaによって指摘された正則曲線と有利点の類似を徹底的に追求しようという研究である。こうした幾何学の建設が困難な最大の理由は、SuperZ方向への微分の定義が存在しないことである。本研究の基本的立場は、存在しない微分そのものを佐賀市求めるかわりに、正則曲線の微分が満たすべき値分布論的性質を正則曲線のジェット微分の値分布論的関数が満足する関数等式によって表現し、それを「Voitaの辞書」によって数論幾何に翻訳することによって数論幾何における「微分の定義方程式」を見つけようということである。本研究の成果して次の3項目が上げられる。 1.一般次元の複素射影代数多様体への正則曲線の値分布の問題を、「有理型関数の値分布」の問題の族に変換する方法(ラドン変換)を定式化した。この変換は数論幾何的設定に翻訳可能である。 2.ターゲットがアーベル多様体の場合には、「有理型関数」を、「複素直線の分岐被覆から双曲的リーマン面への正則写像」にまで条件をゆるめれば、群作用をラドン変換の理論に組み込むことができることを示した。これにより、アーベル多様体への正則曲線に対して第二主要予想が成り立つことが示された。 3.ターゲットが一般のとき、一般のラドン変換の性質を調べ、次の知見を得た。 (1)ラドン変換の方法によって、一般の第二主要予想に対する障害を捉えることができる。 (2)値分布論における対数微分の補題の幾何学的解釈を得る。すなわち、正則写像の微分の「定義式」と解釈できる値分布論的関数等式が示され、対数微分の補題はその定義式により定義される「微分」が満たすべき性質と考えられる。 (2)の等式にVojtaの辞書を適用して得られる数論幾何的類似を、ディオファントス近似論における「数論的微分」の定義式と考えることにより、値分布論における微分を含む理論展開を、微分幾何を無理に翻訳することなしで数論的設定に翻訳できる可能性が出てきた。
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