研究概要 |
可解場の量子論に基づいて、その無限次元対称性の内容・働き等を、物理的(場の物理的)及び表現論的方法を用いて明らかにすることを目的とした。 第一の側面として、戸田場の理論に注目して、アファイン・リー代数およびW代数を力学的(場の理論的)方法を駆使して調べることを目的とした。戸田場の理論は、(アファイン)リー代数のルート系によって定義されているため、そのルート系のたたみこみによって得られる部分(アファイン)リー代数の戸田場の理論に簡約される。種々の可能な簡約を構成する事によって、たたみこみの表現論的・力学的(古典的・量子的)意味を調べた。この多くの畳込みは、今まで知られていなかった新しいものである。第二の側面として、無限個の非局所荷電が可解性を保証する一連の非線形シグマ模型に関して、半空間上での可解性を論じた。非線形シグマ模型の持つ幾何学的対称性を破らないようにすると、通常は自由(ノイマン)境界条件しか許されない。この場合には戸田場の理論の場合とは対照的に、非線形シグマ模型の無限個の非局所荷電は、半空間に制限すると保存されない。 もう一つの側面として量子群・交換代数等の力学的影響を理解する一助として、比較的構造の簡単な有限自由度の物理系を扱った。特に量子光学で重要な役割を果たすCoherent状態やSqueezed状態に関連して、多くの量子代数とその表現を与えた。いくつかのCoherent状態やSqueezed状態はここで初めて発見された新しいものである。、特にsu(1,1)代数に注目し、その一連のsqueezed状態をラゲ-ル多項式演算子や通常の指数関数演算子などを用いて系統的に与えた。論文[5]では一般化された変形振動子代数の多光子実現や、q-変形振動子の有限次元周期表現を扱った。特にqが1のべき根である場合には、量子光学における"位相演算子"が代数的に矛盾無く定義されることを示した。\更に、一般化されたCoherent状態と、初等確立分布(Poisson分布、二項分布、多項分布、負の二項分布、負の多項分布)とLie代数の対称表現(Heisenberg-Weyl代数、su(2),su(N+1),su(1,1),su(N,1))との関係を明らかにした(確率の量子論)。この確率分布のLie代数による特徴付けは、今までに知られていないと思われ、またその無限次元対称性への拡張は非常に興味がある。
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