研究概要 |
無限次元スーパー・リー環には,アフィン・スーパー・リー環のほかにsuper-conformal代数と呼ばれるクラスがある。それらの内のランクの低いもの,すなわちN=0とN=1のsuper-conformal代数だけについても,それらの重要性はすでに周知であり,またN=2 super-conformal代数はmirror対称性と関連して,最近非常に興味を持たれている。本年度の研究で,筆者はN=2 superconformal代数の新しい構成を見つけた。それはアフィン・スーパー・リー環s1(2,1)^<^>から構成するものであるが,この方法の特徴は長さがゼロのoddルートを本質的に利用することにある。ルート系の構造が同じであってもアフィン・リー環s1(3,C)^<^>ではうまく行かないで,スーパー・リー環s1(2,1)^<^>なら余剰項がうまく消えてN=2 superconformal代数の表現が得られるのである。そして,さらにこの手法を基にしそれを拡張して,N=4 super-conformal代数をアフィン・スーパー・リー環から構成することに成功した。この結果は,論文として今準備中である。 本年度はさらに,conformal-super代数の研究も行なった。“conformal-super代数"は,super-conformal代数をもとにして,その概念を頂点作用素代数の手法を用いて少しくmodifyすることにより,マサチューセッツ工科大学のKac教授によってごく最近発見されたスーパー・リー環で,いわばsuper-conformal代数のひとつの“異性体"であるが,これら両者のスーパー・リー環の表現論には,類似点だけでなく顕著な相異があらわれて,それの応用もこめて非常に興味深い研究対象である。conformal-super代数の表現のextensionについてKac,Chengと共同研究を行った。ここで筆者の用いた手法は純粋に表現論によるものであるが,得られた結果は,当然のことながらsuper-conformal代数のコホモロジーとも密接に関係している。
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