研究概要 |
複素鏡映群の大きな系列の一つであるG(r,p,n)についてその"高次Specht多項式"の構成を行った. 古典的Weyl群を包括する複素鏡映群としてG(r,p,n)というシリーズがある.この群はn変数の多項式環pに自然に作用する.そのとき基本不変式で生成されるイデアルJによる剰余環R=P/JはG=G(r,p,n)の"余不変式環"とよばれ表現としては正則表現と同値であることが知られている.余不変式環RはGがWeyl群のとき,対応する代数群の旗多様体のコホモロジー環と同型であることから幾何学的にも非常に重要な対象である.そこでRの各既約成分をその基底もふくめて具体的に多項式として記述するということが問題となる.私は投稿中の共著論文"Higher Specht polynomials for complex reflection group G(r,p,n)"においてこの問題を解決した.G(r,p,n)の既約表現Young図形で統制さるのでその組合せ論を援用して,初等的に計算可能な形で基底が記述される.今後のG(r,p,n)のモジュラー表現などの研究において大きな役割を果たすものと信ずる. なおこの結果は96年の日本数学会秋季総合分科会において口頭発表された.また97年にウイーンで開催される国際会議"Formal Power Series and Algebraic Combinatorics"でも発表予定である.
|