新星の光度曲線は加藤のoptically thick wind theoryで理論的に再現できるが、その結論によると、新星の光度曲線を決める主なパラメタは白色矮星の質量とガスの元素組成である。銀河のタイプの違いや同一銀河の中でも場所により星形成の歴史がちがうため、星間物質中の鉄の量は大きく異なる。新星の光度曲線の速さはOPACITYの鉄のピークに大きく依存するため星の種族により違いが出る。そこで鉄をZ=0.001から0.1まで変えて、光度曲線や質量放出のようすがどのように変るか調べた。その結果はZが0.01から0.05の変動範囲では大きな変化はない。球状星団の組成であるZ=0.001になるとかなり様子が変わる。その特徴をまとめると(1)新星の光度曲線はゆっくりになる。タイムスケールは数割から3倍程度に長くなる。(2)白色矮星の質量が小さい(0.8M【.encircledL.】より小)と質量放出がおきず、ゆっくりした光度曲線になる(3)ガスの速度は白色矮星の重さよりZの方に依存する。Zが小さいほど小さい。(4)白色矮星の重さを決めるには超軟X線からX-ray turn off timeを調べるとよい。 また超新星母天体としての質量降着白色矮星からの質量放出についても鉄の組成の影響を調べた。球状星団中(Z=0.001)では質量放出がよわく、早くやむため、白色矮星は成長しやすいことがわかった。
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