本研究の目的は「^9Liコア核の中性子対相関励起と外殻中性子との結合による^<11>11Li核の新たな励起共鳴状態の存在を解明する」ことである。そのために、以下の課題について研究を行った。 (1)^<11>Li核のコア励起共鳴状態の研究;[^9Li+n+n]+[^9Li^*+n+n]チャンネル結合模型計算を行い、^9Liの2p-2h励起成分の混合により^<11>Liの結合エネルギーが約1MeV下がることを示した。さらに、^9Liの2p-2h励起成分を主成分とするような状態がどのような励起エネルギー領域に現われるか分析するため、^<10>Li核に戻って結合機構を考慮した^9Li-nポテンシャル特徴を詳細に分析することとから始めた。 (2)^<10>He核と^<11>Li核における同質性と異質性;^<10>Liの実験データを説明する^9Li-n相互作用と同じ^8He-n相互作用を用いて^9Heの共鳴基底状態を分析し、実験データを再現する^8He-nポテンシャルを求めた。そのポテンシャルを用いて^<10>Heの共鳴基底状態を求め、実験データとよく対応することを確かめた。その結果はPhys.Rev.Cから発表される予定である。 (3)^<11>Beの鏡映核である^<11>NにおけるThomas-Ehrman効果;ハロ-構造の原因を解明する上でs-waveの異常降下の問題がある。s-waveが基底状態に現われる^<11>Be核の鏡映核^<11>Nにおけるクーロン力の効果(Thomas-Ehrman Effect)を共鳴状態で分析した。(投稿中) (4)^<10>N核における共鳴レベル構造;^<10>Li核の共鳴レベル構造についての情報は、^9Li-n相互作用を通じて^<11>Liのハロ-構造の研究にとって非常に重要であるが、巾が広い低角運動量共鳴状態の実験は困難である。そこで、クーロン障壁が加わった^9C+pでそれらの構造を観測することの可能性を分析した。 以上の研究のうち、(1)、(2)についてはH8年6月3-7日大宮市で開催される国際会議(The Fourth Int. Conf. on Radioactive Nuclear Beams)のポスター・セッションの場で発表・報告を行った。研究費の主要部分はそれへの出席のための旅費、及び印刷トナー等の消耗品に当てられた。
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