研究概要 |
ピリドキサール5'ーリン酸(PLP)酵素,トリプトファナーゼ,分枝アミノ酸トランスアミナーゼ,芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼの光反応ダイナミックスを検討した. 分枝アミノ酸トランスアミナーゼは,335nmと415nmに吸収極大があり,いずれを励起しても,530nmに蛍光スペクトルが得られる.ナノ秒レーザー光(355nm)により,470nmに過渡吸収が得られ,寿命は230nsとマイクロ秒オーダーである. 芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼは,335nmと420nmに吸収極大を持ち,420nmで励起すると510nmに,335nmで励起すると510nmと380nmに蛍光スペクトルが得られる.380nmの蛍光スペクトルはアミノ酸が求核攻撃してできるsp3構造のPLPと考えられる.ナノ秒レーザー光(347.2nm)により,480nmに過渡吸収が得られ,寿命まは250nsと4.5μsの2成分である. トリプトファナーゼの吸収スペクトルはpHによって変化し,pH6では422nm,pH9.5では338nmの極大がある.422nmで励起すると510nmに,328nmを励起すると383nmに蛍光スペクルトルが見られる.ナノ秒レーザー光(355nm)で,pH6.5では,415nmと475nmに過渡吸収が得られ,それぞの寿命は約30μsと280nsである.510nmに極大を持つ蛍光スペクトルも得られ,寿命は8nsである.pH9.5では,380nmに寿命約10nsの蛍光スペクトルが得られた.pH6.5での415nmの過渡種は他の酵素にはないものである. 酵素によってそれぞれ異なる光反応ダイナミックスを示すことから,タンパク質内部の構造を反映しているものと考えられる.
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