研究課題/領域番号 |
08218202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
下村 政嗣 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10136525)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 単分子膜 / 両親媒性インターカレーター / 光誘起電子移動 / 核酸高分子 / パイ電子 |
研究概要 |
本研究は、LB膜や二分子膜などの二次元分子集合体の高度な分子組織性に注目し、光誘起電子移動に深く係わっているパイ電子相互作用を制御するとともに効率の良い電子移動系を開発することにある。本年度は、組織化されたパイ電子集合体として核酸ポリマーに注目し、単分子膜との複合化による二次元組織化を行い、スタックした塩基対を介した光誘起電子移動の可能性を探った。 最近、DNA二重らせんに電子ドナーおよび電子アクセプターを結合させることにより、DNAを介した光誘起電子移動が観測されている。我々はこれまで、DNAにインターカレートできる色素と疎水基を合わせ持つ両親媒性インターカレーターの気液界面単分子膜に、下水相に添加したDNAがインターカレーションして配列したDNA単分子層を形成することを見いだした。そこで、両親媒性インターカレーターを電子ドナーとし、両親媒性電子アクセプターへの光誘起電子移動におよぼすDNAの添加効果について検討した。DNA水溶液上でのジアルキルアンモニウム塩との2成分混合膜(モル比9:1)及び3成分混合膜(モル比8:1:1)のπ-A等温線は純水上のものに比べて膨脹しており、DNAが単分子膜に結合していることを示している。また2成分系と3成分系の等温線はほぼ同じであり、また、π-A等温線が膨脹することからDNAが結合しても膜中のドナー・アクセプターの分布は大きく変化しないものと考えられる。種々の高分子水溶液上において2成分および3成分膜の両親媒性インターカレーターの蛍光相対値から消光効率を求めた。DNAとRNAの系(polyG・polyCを除く)では、2成分系の蛍光強度が純水上のに比べ高いことから両親媒性インターカレーターが塩基対間にインターカレートされていると考えられる。両親媒性電子アクセプターを10mo1%混合すると、光電子移動に基づく消光により蛍光強度は減少した。消光効率は0.5以上であった。それに対して、純水上およびポリビニル硫酸やコンドロイチン硫酸などの塩基を持たない高分子上では消光効率は0.25以下であった。これらの結果より、DNAとRNAは単分子膜に結合することで電子移動を促進することが明らかになった。
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