研究課題/領域番号 |
08218212
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 晃一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40175659)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 量子制御 / チャープパルス / 光解離反応 / 波束ダイナミックス / 反応制御 / 化学反応ダイナミックス / コヒーレンス / レーザーパルス |
研究概要 |
近年のレーザー技術の進歩により、レーザーを用いた化学反応ダイナミックスの量子制御が期待されている。レーザー場と反応系の相互作用に関する基礎的研究が急務である。理論的には、Coherent Control、Pulse Shaping、Pump-Probeなどが有力な方法として提案されている。しかしながら、依然としてこれら理論的に設計されたレーザーパルスの実用化は困難であり、実際、反応制御に成功したとする実験的報告はほとんど見られない。そこで本研究では比較的容易に実現可能なチャープパルス(位相変調パルス)を用いた光解離ダイナミックスの制御に関して理論的研究を進め、これまでCO、NaI分子の光解離反応をモデルとして、チャープパルスと分子系の相互作用の特質を検討した。(1)初期波束のインコヒーレンス、(2)adiabatic population transfer機構、(3)パルス内pump-dump機構、がチャープパルスと分子系の相互作用の3大特質として明らかになった。負のチャープパルスの場合、パルスの先端部の周波数は後端部のそれより大きく、逆に正のチャープパルスの場合、時間にともなって周波数が増加する。またチャープによりパルスのエネルギー領域での分布が、チャープしない場合に比べ大幅に広がる。したがって、チャープパルスによって励起状態に作られる初期波束のエネルギー分布は広く、負のチャープパルスの場合、初期波束の高エネルギー部分、逆に正のチャープパルスの場合は低エネルギー部分が時間的に速く作られる。この初期波束の高エネルギー部分と低エネルギー部分の運動の差、すなわち振動運動のコヒーレンスが壊されるようになって興味ある現象が引き起こされる。
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