研究課題/領域番号 |
08218220
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
海老谷 幸喜 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (50242269)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 無機多孔体 / 光触媒 / プラセオジム / ユーロピウム / モルデナイト / 一酸化二窒素 / L_3吸収端EXAFS |
研究概要 |
1、平成7年度の研究では、ゼオライト細孔内のプラセオジム(Pr)イオンが、一酸化二窒素(N_2O)の量論的分解反応に光触媒作用を示す事を明らかにし、Prイオンの光活性な配位環境とN_2Oの不可逆吸着を経由する分解反応機構を提案した。平成8年度は、ユーロピウムイオン交換モルデナイト(Eu-M)と酸化アルミニウム上に分散したプラセオジム(Pr/Al_2O_3)によるN_2Oの光分解反応機構を検討した。 2(1)Eu-MによるN_2Oの分解反応は光照射下でのみ進行したが、光分解速度と生成物中のN_2/O_2比ともPr-Mに劣る。N_2Oの不可逆吸着のみでも反応が進行したことから、Eu-Mでも、N_2Oは希土類イオンへの不可逆吸着種を経由して光分解されている。排気後のEu-MのUV-VISスペクトルでは、310nm付近に吸収が観測された。この光吸収は、Eu^<3+>イオン(基底状態^7F_0)の4f→5d遷移あるいはcharge transfer stateへの遷移に帰属でき、Eu-Mの光触媒作用の源である。 (2)Al_2O_3単独でも、N_2Oの光分解反応は進行するが、光分解速度はPrを担持することで増大する。Prの担持量が1.9wt%までは光分解速度は担持量と伴に直線的に増大するが、Pr担持量が8.6wt%のものでは光分解速度が大きくはならない。Prの担持によりN_2/O_2比は低下し、Pr担持量の増加により、酸素が気相に放出されるようになる。PrL_3吸収端EXAFSでは、8.6wt%Pr/Al_2O_3ではPrが凝集し、バルク相が生成していることが判明した。分解によって生じた酸素が気相に放出されるには、Prがある程度近接した方がよいと思われる。Pr/Al_2O_3にはN_2Oが不可逆吸着しないので、N_2Oの不可逆吸着種を経由しない機構で反応が進行している。 以上、平成8年度の研究により、希土類イオンの光触媒作用やその機構は、希土類イオンの分散性と密接に関連することが明らかとなった。
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