1.多波長光導波路法の開発 オプティカルマルチチャンネルアナライザー(OMA)を用いて、スラブ型導波路に白色光を導入できる多波長光導波路分光システムを組んだ。本システムは、同様な目的で組まれた他のシステムと比べて単純である。導波路への光入射はプリズムに近づけたファイバーで行い、出射光の集光はファイバーバンドルのライトガイドによった。入射用ファイバーからの出射光広がり角の調整による光導入効率の最適化は行っていないが、光強度は十分に得られている。但し、マッチング液とカプラープリズムの屈折率を等しくしてカップリング効率を上げる、などの工夫を行った。レーザー使用の場合と比べると、導入効率は低くなるが、光ファイバーからの光導入の角度の制限はずっと少ない。このシステムを用いて、ガラスの色中心生成反応や、薄膜中の色素のスペクトル変化などの追跡を行った。後者については、多層構造導波路についての新しい手法である群屈折率法を開発して詳しい感度の解析を行い、またゾル・ゲル法によって作製した色素含有多層薄膜導波路を用いて、5ppmまで測定可能なH_2Sセンサーを作製した。 2.複合構造・超高感度導波路の特性 マグネトロンスパッタリングを用いて作製したTiO_2薄膜(n=2.0〜2.5、厚さ=20〜25nm)とK^+イオン交換導波路(屈折率変化=0.01、厚さ=2μm)との組み合わせについて、この導波路系の感度などの特性を理論的および実験的に調べた。この導波路系では、クラッドの屈折率変化として10^<-4>程度までが追跡できる。また、垂直方向からの観測と比較して10^4以上の増幅率が得られるので、高度に分散した表面吸着色素やLB膜中の機能分子の測定などに適当であると考えられる。
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