研究課題/領域番号 |
08218228
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大峰 巌 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60146719)
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研究分担者 |
松本 正和 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10283459)
斉藤 真司 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70262847)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 光異性化 / 励起状態 / 非断熱遷移 / 非経験的電子状態 / トランジェクトリー / ポテンシャルエネルギー面 / ポリエン |
研究概要 |
光異性化反応で重要である最低励起状態2Ag、基底状態1Agの2つの一重項状態のポテンシャルエネルギー面、その間の非断熱カップリングを記述するためのモデルスピンハミルトニアン(Heisenberg型ハミルトン)を構築した。非経験的電子状態記述法を用い、非線形最小自乗法によりこのHeisenberg型モデルのパラメーターを決定し、様々な異性化経路に沿ったポテンシャルエネルギー面の起伏、非断熱カップリングの変化が、このHeisenberg型モデルで十分に定量的な精度で再現できることを示し、またこれらポテンシャルエネルギー面、非断熱カップリングの特徴の物理的原因を明らかにした。 このHeisenberg型モデルを電子状態の記述に用い、半古典動力学シミュレーションにより非断熱遷移を含むトラジェクトリー計算を行い、異性化の速度、非断熱遷移の確立、異性化に伴う分子内エネルギー緩和の機構を解析した。トラジェクトリーの解析から、最低励起状態2Ag、基底状態1Agへの非断熱遷移は,3つのCC結合がねじれてそのエネルギー差が小さくなり、さらにCCC結合角の大きな減少することにより引き起こされていることを示した。この非断熱過程に於て、二重結合まわりのねじれが緩和し、一重結合がねじれめ始めるまでの誘導期間の存在と2Ag状態の減衰の様相などを明らかにした。基底状態に遷移してからは、パイ電子エネルギーが多くのaccepting modeに分散し、promoting modeであるCC結合ねじれ、CC伸縮、CCC変角のモードに充分に集中しないため状態遷移は不可逆となる様相などがこの研究で初めて明らかになった。
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