研究概要 |
I.超短パルスレーザーによるEu^<3+>イオンの二光子還元, f-f遷移励起のEu^<3+>→Eu^<2+>の反応では次に示す機構で二光子反応が起こっていると考えている。 Eu^<3+>CH_3OH→→Eu^<2+>CH_3O^+H 第一の光394.3nm^3でf-f遷移を励起(^7F_0→^5L_6),第二の光394.3nmが電荷移動(CT)吸収帯へ励起(^5L_6→CT)できると推定した。フェムト-ピコ秒レーザーを用いるとその効率は〜0.1となった。ナノ秒(25ns)色素レーザー励起の場合10^<-6>に比べ、高い効率となった。励起レーザーの中心波長394.3nm,約2psのパルス幅で,パルスエネルギーは〜1mJ程度であった。試料はEuCl_3の0.39Mのメタノール溶液,脱ガス,0.04-0.06mlである。[Eu^<2+>]∝L^2が得られた。Lは照射レーザーフルエンスである。励起波長依存性では反応効率は吸収ピークで最大となり,反応中間体はf電子励起状態であることが示された。 II.希土類イオンの発光特性、 希土類イオンの'液体レーザー'を見直すことが目的である。媒体を流体にすれば 1.その冷却が容易となる。2.レーザー素子に損傷がはいっても回復できる,など,本来魅力ある利点があった。分子設計の基本はとにかく希土類イオンを低い振動モード持つ配位子,溶媒とすることであった。Nd^<3+>錯体,Nd (CF_3COCDCOCF_3)_3 (=Nd (HFA)_3), Nd (C_7F_<13>COCDCOC_7F_<13>)_3 (=Nd (PHM)_3)などを合成した。Nd^<3+>錯体に関し,初めて有機溶媒中で発光を観測することに成功した。Yb^<3+>錯体では量子ディフェクトが小さい(数%,Nd^<3+>は23%)という特徴を備えている。Nd^<3+>の場合と同様の錯体の合成を試み,その発光を調べた。Nd^<3+>系に比べ,高い発光収量の傾向を示した。
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