研究課題/領域番号 |
08218241
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 光 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (90195800)
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研究分担者 |
加藤 博雄 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助手 (20152738)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 太陽電池 / MIS / シリコン / KCN′ / 界面準位 / トラップ準位 / 第一原理計算 / 酸化膜 |
研究概要 |
〈ITO/シリコン酸化膜/n型シリコン〉構造を持つ太陽電池に、KCN処理(0,1M KCNに数秒浸しその後沸騰水で10分洗浄)を施すことにより、光起電力と曲線因子が向上することを見いだした。多結晶シリコンを基板とする太陽電池では、KCN処理によって暗電流密度の温度依存性が増加すると共に、暗電流密度が減少した。これは、シリコンの空乏層中のトラップ密度が減少することによって、暗電流のメカニズムがtrap-assisted multistep tunnelingからthermionic-assisted tunnelingに変化するためであると結論した。さらに、電極のコンダクタンスの測定から、KCN処理によるトラップ密度の大幅な減少も観測された。 単結晶シリコンを基板に用いる太陽電池についても、KCN処理を施すことにより、光励電力が増加した。暗電流密度の温度依存性の測定から、エネルギー障壁高が約0.1eV増加することが分かった。CNの電子親和力は3.9eVと非常に大きいため、シリコン表面またはシリコン酸化膜中にCN^-イオンとして存在していると考えられる。CN^-イオンの存在によってシリコン酸化膜中で電位勾配が生じ、シリコンのバンドエッジが上方にシフトすることによって、シリコン中のエネルギー障壁高が増加し、光起電力が増加したと結論した。また、電極コンダクタンスの測定及び、我々が開発した"バイアス電圧印加時のXPSスペクトルの測定"の結果、界面準位密度がKCN処理により減少することが分かった。クラスターモデルを用いた第一原理計算の結果、シリコンダングリングボンドにCN^-の炭素原子が結合し、その構造が直線的であることが分かった。また、ダングリングボンドにCN^-が吸着することによって、シリコンのバンドギャップ内からエネルギー準位が除去されることが分かった。
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