研究概要 |
非共鳴二光子励起によってNOの3pπC^2Π(υ′=0)状態および3pσD^2Σ^+(υ′=0)を励起した際、近赤外域にASEを観測すると同時に、紫外域にもレーザー伝播方向に指向性を持って出射する光を観測した.この紫外光は、ASEと2光子レーザー場とがカップリング(四光波混合)した結果発生したコヒーレント光であると推定された。このことは、同じ量子準位を励起する場合でも、非共鳴か共鳴か、つまり存在するレーザー場の違いによって異なった非線形光学過程が誘導され得ることを示している 〜380nmのパルスレーザー光をレンズ(f=80mm)でNOを約10Torr含むセル内に集光し、基底状態X^2Π(υ″=0)から3pπC^2Π(υ′=0)を2光子励起によりpopulateする。この時、C^2Π(υ′=0)と3sσA^2Σ^+(υ=0)の間に反転分布が成立し、これらのリュードベリ状態間でASE(〜1220nm)が発生する。また同時に225nm付近に紫外光も発生することが確認された。近赤外光および紫外光に対する励起関数はほとんど完全に一致しており、両光波の出どころが同じであることをうかがわせる。近赤外光は、(1)レーザー伝搬順および逆方向で観測されること、(2)パルス波形がレーザーパルス幅以下で遅延時間がないこと等からASEであると断定できる。また全てのラインにおいて近赤外光の偏光面はレーザーの偏光面と平行である。一方、紫外光は225nm付近のみにあり、これはA^2Σ^+-X^2Π(0,0)に相当しASEではあり得ない。この紫外光に対する最も合理的と思われる解釈は、レーザー進行方向に伝播するASEがいわばシ-ド光となってこれがレーザーの2光子コヒーレンスとがカップリング(四光波混合)した結果発生するコヒーレント光であろう。紫外光のパルス波形がレーザーのそれとほぼ同じであること、また紫外光の偏光方向が赤外光と同じであることは、上の推論を支持する。
|