研究課題/領域番号 |
08219227
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小田 順一 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027041)
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研究分担者 |
加藤 博章 京都大学, 化学研究所, 助手 (90204487)
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | γ-グルタミルシステイン合成酵素 / グルタチオン合成酵素 / アスパラギン合成酵素 / 遷移状態アナログ阻害剤 / X線結晶解析 / 立体構造 |
研究概要 |
本研究は、ATPの高エネルギーリン酸結合の加水分解に伴うエネルギーを利用してアミド結合を生成する3種類の酵素、γグルタミルシステイン合成酵素・グルタチオン合成酵素・アスパラギン合成酵素について、それぞれの酵素がどのように反応を触媒しているかを、「遷移状態」における基質との相互作用および酵素の立体構造という観点から明らかにすることを目的としている。まず、γグルタミルシステイン合成酵素について、反応の遷移状態アナログとして、四面体型のリン原子あるいはイオウ原子を基質構造の中心に導入したホスフィネートおよびスルホキシミン誘導体を合成した。これらの化合物はいずれも、本酵素の強力な阻害剤として作用したばかりでなく、酵素の活性中心内で酵素自身の作用によってリン酸化され、遷移状態ときわめて類似した分子種を生じることで酵素を完全に失活させる、いわゆるmechanism-based enzyme inactivatorとして作用していることが判明した。次に、グルタチオン合成酵素では、生成物との複合体のX線結晶解析を行ない、反応が終了した時点での酵素複合体の立体構造を2.0Åの分解能で決定することに成功した。これは、以前に決定した遷移状態アナログとの複合体の立体構造とあわせると、酵素が遷移状態から反応の終了へと移行する過程を連続写真のように視覚化することに成功したものと言える。次いで、アスパラギン合成酵素を結晶化し、X線結晶解析によりその立体構造を2.2Åの分解能で決定した。その結果、本酵素は、アミノ酸配列には相同性がほとんど見られないアスパラギン酸-tRNA合成酵素の触媒ドメインときわめてよく似た立体構造をもっていることが判明し、両酵素が進化的に関連していることを見いだしたのみならず、立体構造をもとにしたアラインメントにより、本酵素の活性残基を推定することができた。また、アスパラギン合成酵素をきわめて強力に阻害する遷移状態アナログ阻害剤を合成することにも成功している。
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