研究課題/領域番号 |
08219240
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)佐々木研究所 |
研究代表者 |
山下 克子 (財)佐々木研究所, 生化学部, 部長 (70030905)
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研究分担者 |
福島 慶子 (財)佐々木研究所, 生化学部, 研究員 (10250010)
久下 小百合 (財)佐々木研究所, 生化学部, 研究員 (50260104)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | レクチン様活性 / GPIアンカー / インターロイキン-1β / マンノース-6ーリン酸 / アルカリ性ホスファターゼ |
研究概要 |
種々のサイトカインは、免疫系をはじめ、生体内の様々な生理機能を制御しているが、サイトカインの多機能発現には受容体以外の情報伝達機構があると考えられる。その候補の一つとしてサイトカインのレクチン様活性が注目され、我々は、これまでにTNF-α,β,IL-1βが少なくともGPIアンカーのマンノース-6ーリン酸を認識していることを示すデータを得てきた。本年は、〔^<35>S〕-メチオニン標識したリコンビナイトTNF-αおよびIL-1βを調製し、詳細な糖結合特異性を調べると共に、サイトカインに認識されるGPIアンカーグリカン鎖の構造解析を行った。 TNF-αとIL-1β糖結合特異性の同定のために、プレートにコートしたヒト胎盤由来アルカリ性ホスファターゼ(ALP)と〔^<35>S〕-IL-1βあるいはTNF-αの結合に対する各種オリゴ糖の阻害実験を行った。その結果、マンノース-6ーリン酸及びそのジエステル体に同程度の強い阻害活性が見られた。さらに、キトビオース構造を認識するUDAややキトビオースでも弱い阻害活性を示すことから、TNF-αおよびIL-1βはGPIアンカーのマンノース-6ーリン酸を認識するレクチン様ペプチド部位(サブサイトA)のみならず、Manα1→4GlcNに弱い親和性を有するサブサイトBが存在することが示唆された。両サイトのレクチン様活性の加算性、加速性について合成糖鎖を用いて検討中である。 一方、サイトカインのレクチン様活性のリガンドとしてのALPの糖鎖構造に関し興味ある知見を得た。ALPをβ-N-アセチルグルコサミン特異的PVLカラムにかけると、ALPはPVLカラムに結合して0.1M GlcNAcで溶出された。ついでβ-N-アセチルヘキソサミニダーゼ処理したALPはPVLカラムを素通りし、また、弱酸処理でもPVLカラムを素通りすることから、GlcNAcβ1-P残基がGPIグリカン部のいずれかのマンノシル残基に結合していることが判明した。この構造は哺乳類からデンキウナギのアセチルコリンエステラーゼまで広範囲に観察され、その生合成機構およびその生理的意義に興味が持たれる。
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