研究課題/領域番号 |
08220226
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
寺西 利治 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (50262598)
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研究分担者 |
三宅 幹夫 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (80112019)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 高分子希土類錯体 / パラジウム超微粒子 / 加速効果 / ランタノイド / ポリアクリル酸ナトリウム / アクリル酸 / 水素化 |
研究概要 |
配位性官能基を有するポリアクリル酸ナトリウム存在下、塩化パラジウム酸をアルコール還元することにより、ポリアクリル酸ナトリウムに保護された44Å単分散パラジウム超微粒子の合成に成功した。さらにランタノイドイオンとカルボキシル基との錯形成により、一連のランタノイドイオンをパラジウム超微粒子の近傍に配置することができた。これをアクリル酸の水素化反応に用いたところ、ランタノイドイオン不在の系と比較し反応速度は数倍加速され、アクリル酸濃度に対し0次となった。この事実は、ランタノイドイオンの存在により律速段階であったアクリル酸の拡散速度が加速されたことを示唆しており、ランタノイドイオンによる加速効果は、ランタノイドイオンとヘテロ原子を持つ基質との錯形成による基質濃縮効果が主たる原因であることを示唆している。アクリル酸メチル、アリルアミンおよび1-ヘキセンの水素化において、アクリル酸メチルおよびアリルアミンでは反応速度が加速され、1-ヘキセンでは反応速度に変化がなかったこともまた上述の機構を支持している。 一方、ポリアクリル酸ランタノイド錯体に保護されたパラジウム超微粒子のXPS測定の結果、ランタノイドイオンとパラジウム超微粒子の共存により、ランタノイドイオンからパラジウム超微粒子への電子移動が起きていることが分かった。この結果より、ランタノイド間の加速効果の差異がパラジウム表面の吸着サイトの変化に由来するものであると推察し、パラジウム表面の吸着水素のTPDスペクトルを測定したところ、ランタノイドイオンが存在する系では水素の脱着温度が高温側にシフトしており、また原子番号の増加に伴い吸着水素がパラジウム上で熱力学的に安定に存在していることが分かった。よって、ランタノイドイオンの存在によりパラジウム超微粒子表面への水素の解離吸着速度が増加し、ランタノイド間に加速効果の差異が生じているものと考えられる。
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