研究概要 |
低栄養性微生物(476菌株)の中から、イッテルビウム(Yb)を集積する微生物を得るために、これらの微生物をYb(5ppm)含有1/100希釈肉汁液体地にて30°C、10日間培養し、培地中よりYbを減少させた微生物5菌株を選抜した。これらの菌株はいずれも形態学的観察より細菌類に属していた。これらの菌株の内、高いYb集積能を示した2菌株について同定したところ、Methylobacterium fujisawaense及びStreptomyces sp.に属することが判明した。M.fujisawaenseは各種の希土類元素を60%〜90%以上減少させ、広い集積スペクトルを示した。一方、Streptomyces sp.はYbに比較的高い特異性を示し興味が持たれた。Streptomyces sp.のYb集積能をCuが著しく活性化したが、Alは逆に半分まで阻害した。また、各種の金属とYbを混在させた場合には、Ybを選択的に集積した。本菌は希土類元素(La,Nd,Sm,Yb等)存在下によりその増殖が阻害されるが、赤紫色の色素を生成することを認めた。この色素生成は他の金属(Co,Ni,Mn,Al等)では認められなっかたので、Streptomyces sp.による色素生成の誘発は希土類元素に特有の現象と思われる。Streptomyces sp.をYb(25ppm)含有希釈寒天培地に塗布し、30°C、3週間培養し、色素を生成させた後、酢酸エチルにて抽出した。濃縮後、各種溶出溶媒系を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより色素を精製し、機器分析にてその構造を解析した。その結果、本色素はナフトキノン系色素の一種であることが明らかとなった。
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