研究概要 |
三元フッ化物RbZnF_3にGd^<3+>イオンを添加した単結晶をブリッジマン法により作成し、XバンドEPR装置を用いて室温で測定を行った。一気圧の下でRbZnF_3の高温液体の温度を下げていくと730℃で六方晶BaTiO_3型構造(h-RbZnF_3)に結晶成長し、更に温度を下げると640℃で立方ペロヴスカイト型構造(c-RbZnF_3)へ構造相転移する。Gd^<3+>イオンのみ添加した試料では、立方対称性をもつ強い信号と四回対称性をもつ弱い信号が観測された。これらはc-RbZnF_3中に形成されたGd^<3+>中心である。4階微細構造パラメータb_<4c>から、Gd^<3+>はZn^<2+>ではなくRb^+位置に置換している。四回対称中心では、電荷補償が最隣接Rb^+空孔により行われている。二価陽イオン空孔を伴わないことは、12配位位置に置換したGd^<3+>中心の特徴と考えられる。RbZnF_3にGd^<3+>イオンとLi^+イオンを共に添加した試料では、立方対称性および四回対称性をもつGd^<3+>の信号は全く観測されず、新たにGd^<3+>の三回対称スペクトルが観測された。室温においても結晶がh-RbZnF_3となっていることが分かる。微細構造項を一軸性(b_<2a>,B_<4a>)、立方性(b_<4c>,b_<6c>)および六方対称性(b_<6h>)項に分離すると、b_<4c>の値は-4.5×10^<-4>cm^<-1>となり、Gd^<3+>はZn^<2+>位置に置換していることが分かる。Zn^<2+>位置は二種類あるが、Gd^<3+>はc軸に沿ったZn^<2+>-Zn^<2+>の対にGd^<3+>-Li^+の形で置換していると考えられめる。b_<2a>69Vb_<4a>が負であることから、Gd^<3+>-Li^+の方向に沿ってGd^<3+>を囲むフッ素八面体が正八面体構造と比べ伸びている。hRbZnF_3ではZn^<2+>-Zn^<2+>間距離がc-RbZnF_3の場合より短いためにGd^<3+>-Li^+斥力が強く働き、この斥力が取り囲むフッ素八面体をc軸に沿って伸ばす効果となっている。Li^+が、電荷補償をしてGd^<3+>が小さなZn^<2+>イオンに置換でき、Gd^<3+>が小さくZn^<2+>イオンに置換したことによりhRbZnF_3構造が安定化したと考えられる。
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