研究概要 |
高性能電池やインテリジェントセンサーなど新しい電気化学デバイスを設計するために,ポリマーマトリックス固体内で多価(2〜4価)の陽イオンが移動する新規イオン伝導体を開発し,そのイオン伝導特性ならびに電気化学挙動を調査した。 1.希土類イオン含有メタクリレート系高分子イオン伝導体の作製と物性評価 オリゴ(エチレンオキシド)ユニットを持つメタクリル酸エステルマクロマ-混合物を紫外光照射下でラジカル重合することにより,エチレンオキシド鎖で一部架橋したポリ(メタクリル酸)をベースとするポリマーマトリックスを得た。希土類イオンの分散は,錯形成剤に溶解した希土類塩をマクロマ-に混合することにより行った。複合体のイオン伝導度は,塩の種類およびその含有量により変化した。Yb(CF_3SO_3)_3を含む系で10^<-5>Scm^<-1>の伝導度(20℃)が得られた。希土類イオンのサイズが小さいほど高い伝導度示したが,複合体中でのイオン解離度が重要な因子であることを明らかにした。 2.固体高分子薄膜中に取り込んだセリウム錯イオンの電気化学的特異性 ポリマー中に取り込んだレドックス活性多価イオンの挙動を調べるために,グラシーカーボン基板にNafion溶液を適量滴下して風乾し,さらにCe(III)塩を含む酸水溶液に所定時間浸漬することによりCe(III)種を取込んだポリマー修飾電極(Ce/Nafion/GC)を作製した。Ce(III)をNafion中に取り込ませることにより見かけの酸化還元活性(可逆性)は溶液中のそれよりも高くなった。速度論パラメータを求めて,活性化の機構を明らかにするとともに,ポリマー中のCe(III)種が有機反応のメディーエータとして作用することを明らかにした。
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