研究概要 |
サマリウム(II)ビスアリールオキシド(ArO)_2Sm(THF)_3(Ar=C_6H_2^tBu_2-2,6-R-4,R=H,Me,^tBu)をTHF中においてC_5Me_5Kと反応させるとArOとC_5Me_5を同時にもつSm(II)錯体[(C_5Me_5)Sm(OAr)K(C_5Me_5)(THF)2]_∞を与えた。この錯体は中心金属に“C_5Me_5K(THF)_2"が“中性配位子"として配位している極めて稀な錯体である。(C_5Me_5)_2Sm(THF)_2と一当量のArOHをトルエン中で反応させると、中性配位子を含まない混合型錯体[(C_5Me_5)Sm(μ-OAr)]_2が得られた。これらの混合型錯体をHMPAと反応させると、対応するHMPAが配位した錯体(C_5Me_5)Sm(OAr)(HMPA)_2が生成した。 (C_5Me_5)Sm(OAr)(HMPA)_2はフルオレノンと反応すると不均化せず対応するケチル錯体(C_5Me_5)Sm(OAr)(ketyl)(HMPA)を与え、混合型配位子をもつ一電子還元剤としての有用性を示した。また、これらのアリ-オキシド配位子含有新規Sm(II)錯体はカテコールボランによるオレフィンのビドロボレーション、エチレンやスチレンなどの重合反応において(C_5Me_5)_2Sm(THF)_2の場合に見られない高い触媒活性を示した。 その他、サマリウム金属と三当量のフルオレノンとの反応により初めてのトリス(ケチル)錯体を単離しその構造を明らかにすると共に反応性を検討した。
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