研究課題/領域番号 |
08221202
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
金澤 等 福島大学, 教育学部, 教授 (50143128)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 固相重合 / アミノ酸NCA / L-フェニルアラニンNCA / 結晶構造 / αらせん / サンドイッチ層状構造 / β構造 / β-ベンジル-L-アスパルテートNCA |
研究概要 |
アミノ酸N-カルボキシ無水物(NCA)の結晶状態での重合(固相重合)を、通常の溶液重合と比較して、固相重合によるポリペプチド合成の機構とその長所を解明し、ポリペプチドの分子設計に応用することを目的とした。L-アミノ酸NCA結晶を非溶媒である炭化水素に入れて、アミンや他の塩基を加えると、結晶状態の重合が起こり、空気中における水分による反応に類似した固相反応系がみられる。すでに固相反応性はアミノ酸NCAの種類と結晶構造によって著しく異なることがわかった。 今回は、反応生成ポリマーがβ構造をとるとみられる、L-フェニルアラニン(LPhe)NCAとβ-ベンジル-L-アスパルテート(BLA)NCAの結晶構造の解明と、その反応性の比較を行った。NCAは常法で合成し、酢酸エチル-ヘキサンで再結晶化した。固相重合は、一気に作った結晶をヘキサンまたはデカンに入れて、ブチルアミン(開始剤)を加えて行った。溶液重合は結晶を溶液としてからブチルアミンを加えた。反応速度は発生する二酸化炭素の量から求めた。結晶構造はX線解析により決定した。その結果、結晶が純粋であればLPheNCAは固相重合性が極めて高いが、一方、通常の溶液中(溶媒:アセトニトリル、ジオキサン、ニトロベンゼン)では、全く反応しないことがわかった。またBLANCAも、固相重合活性の方が溶液よりも圧倒的に高かった、但し溶液反応もみられた。 両者の結晶構造はβ構造のポリペプチドを形成しやすい配列であることがわかった。なお、LPheNCA分子が溶液で反応しない理由は、分子が溶液中で会合状態を形成する可能性を考えている。こうして、今まで提案してきた反応に有利な二つの条件、(1)サンドイッチ層状構造(NCA環と側鎖が、それぞれ別の層にあり、その層が交互に並ぶ)、(2)αらせんの形成しやすい配列、に加えて、(3)β構造のとりやすい配列-が、固相重合に有利な条件とした。
|