研究課題/領域番号 |
08221222
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
今村 詮 広島大学, 理学部, 教授 (70076991)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | S-SCF法 / 結晶環境 / 分子構造最適化 / CO_2結晶 / 振動解析 / Pa3相 / Cmca相 / Hessian行列 |
研究概要 |
近年われわれは、分子軌道法を、固体状態の分子に適用できる方法、すなわちStructural SCF法(以下S-SCF法と略記)を発展させてきた。この方法の特色は、結晶内のポテンシャル下での分子構造最適化が容易にできることである。さらに、このS-SCF法は、高圧下の結晶にも適用することができる。この方法を用いることによって結晶全体を考えずに結晶内のポテンシャルの下での構造決定ができ、さらにその構造に基づき振動解析ができるようになる。 CO_2結晶は常圧下ではPa3相であったのが、加圧下11.8GPaで、Cmca相に変化することがみいだされている。そこで、われわれは高圧下にあるCO_2結晶の振動解析をおこなった。すなわちPa3相およびCmca相におけるCO_2の分子中心の位置を文献であたえられている値に固定し、CO_2分子の他の幾何学的パラメータをS-SCF法で決定した。そして、その構造に対して、分子軌道法による振動解析をおこなった。すなわち、逆対称伸縮振動、対称伸縮振動、変角振動のそれぞれに対して、常圧下、7.4GPa、11.8GPaでのPa3相での計算と、11.8GPaにおけるCmca相での計算をおこなった。圧力変化および相転移による振動数の変化は、変角振動を除いて実験値とよく対応していることがわかった。なお、S-SCF法ではこれらの振動に対応する変位ベクトルは、中心分子のみに局在せずに、周辺分子にも拡がっている。しかしながら周辺分子は、その外側がいわば真空状態になっている環境下におかれているので、周辺分子に由来する振動は、結晶内の振動をあらわすものとしてあまり適切とはいえない。そこでHessian行列の中心分子の部分を切り出して対角化し振動数を求めた。その結果、変角振動も含めて、全ての振動数が実験結果とよく対応することがわかった。 今後は、電子相関の効果を含めた計算により、精度の高い分子間ポテンシャルを求め、格子振動へのアプローチを試みたいと考えている。
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