研究課題/領域番号 |
08221228
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
鳥海 幸四郎 姫路工業大学, 理学部, 教授 (90124221)
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研究分担者 |
小澤 芳樹 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (40204200)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ハロゲン架橋一次元錯体 / X線結晶構造解析 / 構造相転移 / 複核白金錯体 / 混合原子価錯体 / 構造ダイナミクス / 構造一物性相関 |
研究概要 |
ハロゲン架橋一次元複核白金錯体の構造相転移に関する構造科学的研究において、分子内の低エネルギー振動モードと白金原子の原子価状態がカップルし、一次元電子系の変化を誘起していることが明らかになった。今後の物質開発において興味深いテーマと考えられる。 dta(ジチオ酢酸)を配位子とするヨウ素架橋一次元複核白金錯体Pt_2 (dt a)_4Iは、多様な原子価状態が考えられるが、電気伝導度測定から30〜70℃の温度領域でヒステリシスを伴う半導体→金属→半導体の相転移が報告された。XPS測定からは常に混合原子価状態が示唆されるが、赤外線吸収スペクトルからは5℃前後でPt (II) -Pt (II)混合原子価状態から2.5価-2.5価の平均原子価状態への転移が示唆され、半導体→金属転移と対応している。 単結晶X線回折計を使って-160〜190℃の温度領域で格子定数の温度依存性を測定したところ、単位格子の体積について、0〜10℃で低温相から中間相への2次相転移に対応する折れ曲がり、80〜90℃で中間相から高温相への一次相転移に対応する不連続が観測された。-89.4℃(低温相)と130℃(高温相)で構造解析したところ、2つの白金原子を架橋する4つのdta配位子のつくる面はスクリュー上に捩れており、低温相ではこの捩れは固定され空間群C2/cであるが、高温相では乱れて空間群A2/mに相転移していることが明らかになった。さらに、イメージングプレートを検出器として中間相の20.4℃と49.5℃で構造解析したところ、dta配位子面がPt-Pt軸に平行になった構造の出現が新たに確認された。分子モデルによる考察では、Pt-Pt軸に対して配位子面が捩れた状態と平行な状態では白金原子間距離が伸縮することが予想される。この分子振動は、共有結合が存在するPt^<3+>-Pt^<3+>状態と結合がないPt^<2+>-Pt^<2+>の間の電子構造変化とカップルしていると推測される。
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