研究課題/領域番号 |
08223220
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
都 福仁 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10000837)
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研究分担者 |
竹内 徹也 大阪大学, 低温センター, 助手 (90260629)
谷口 年史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80207183)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | Heavy Fermion / SDW / INVAR like behavior / Thermal Expansion / Magnetostriction / Neutron deffraction / Resistivity |
研究概要 |
この研究では、重い電子系のスピンのゆらぎと体積の関係について実験的に明らかにした。CeRu_2Si_2は低温では近藤効果によりPauli常磁性になり、多数の異なる波数ベクトルで表わされるshort range orderが競合し、時間的、空間的に揺らいでいる。Ce(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2の混晶系にすることにより、0.05【.lower filled box.】x【.lower filled box.】0.3の範囲でスピン密度波が生ずる。スピン密度波の磁気波数のベクトルq(0.0.k)はRh濃度xで変化し、q(0.0.k)の高調波成分は中性子散乱実験でT_Nの1/10の温度まで観測されない。この事はスピンの変調はsinusoidalであり、遍歴電子によるスピン密度波であることを示している。Ce(Ru_<0.85>Rh_<0.15>)_2Si_2の熱膨張、磁歪の測定からもスピン密度波の遍歴的性質が示唆される。 同じ結晶構造を持つ局在スピン系のDyRu_2Si_2、HoRu_2Si_2等の磁歪の測定では、体積変化は観測されない。反強磁性状態で磁歪の測定を行うと容易軸方向では磁化の反転(メタ磁性転移)により格子は伸びるが、そのとき、容易軸に垂直方向(困難軸方向)は縮み、体積変化はほとんどない。 また、格子変化もCeRu_2Si_2に比べて一桁小さい。CeRu_2Si_2の場合にはスピン密度波の磁気容易軸(caxis)方向に磁場を加えスピン密度波から常磁性転移を起こさせると、臨界磁場H_C以上でc軸、a軸方向とも、異常に大きい磁歪が観測される。体積は磁化Mの二乗で変化する。H_C以下も同様に格子磁歪は磁化の容易軸、困難軸ともH^2で増大するがその大きさはH_C以上に比べて非常に小さい。さらにH_Cでのスピン密度波-常磁性転移は一次の相転移で体積の不連続変化をともなう。これらの実験結果は遍歴的重い電子のスピン密度波の発生を示唆している。この事は熱膨張の温度変化にも反映される。高温で局在していた磁気モーメントは近藤効果により消失する。このKondo screeningによる磁気モーメントの消失に伴い、体積が格子振動の減少に加えて異常に小さくなる。またT_N(〜5.5K)以下ではスピン密度波の発生により体積変化がほとんどなくなる。これは格子振動の減少による効果を磁気モーメントの発生により体積の膨張がcancelし、T_N以下では体積変化がほとんどない状態になっている。この現象は3d遍歴金属でよく知られたINVAR効果と類似の現象であり、重い電子系でのINVAR効果として最初に研究された。
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