研究課題/領域番号 |
08223225
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
巨海 玄道 熊本大学, 工学部, 教授 (00111146)
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研究分担者 |
加賀山 朋子 熊本大学, 工学部, 講師 (40274675)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 高圧 / メタ磁性転移 / 層状化合物 / 磁気抵抗効果 |
研究概要 |
希土類アンチモン化合物RSb_2の結晶構造は擬二次元的層状構造を持つ斜方晶である。従ってその物理的性質は大きな異方性を示す特異な電子構造を持つものであると期待される。これまでの常圧下の実験により、R=Prの電気抵抗が約100K(=T*)で異常を示すことや、ネ-ル温度(=T_N)以下でメタ磁性転移を起こすことなど多くの興味ある結果が報告されている。本研究においてはこのような特異な電子構造が体積の関数としてどのように振る舞うかを明らかにするため、高圧下において電気抵抗を主な手段として低温・強磁場下においてその電子物性を調べ、大体以下に述べるような結果を得た。 (1)T*における抵抗異常は圧力をかけると急激に消失していき、約1GPa近傍でT*は0になる。このような大きな圧力高価は不安定な電子状態を反映しているものであり、電荷密度波(CDW)等の存在が示唆されている。(2)T_N(=5K)は圧力をかけていくと上昇するが、1GPa近傍で圧力係数に変化が生じる。この圧力は(1)で述べたT*がT_Nと一致する圧力に対応し、T*における転移と反強磁性転移が競合していることを示している。このようなT-P相図はCDWと超伝導との競合の際によく見られるものでこのことからもT*の転移はCDWによるものであるという考えを指示していると考えてよい。(3)T_N以下の温度範囲で電気抵抗は磁場の印加とともに大きく増加していく。但しこれは磁場方向と層面であるab面と磁場の方向によって顕著な違いがあった。即ち。磁場とab面が平行なときは一気圧で1T付近でメタ磁性転移が現れるが、圧力をかけるとこの転移の他のヒステリシスを伴った磁場誘起の転移が現れる。この転移はさらに圧力をかえることにより消失していく。この磁場誘起の相転移がどんなものであるかについては他の実験手段を用いて明らかにしなければならない。 以上のように本研究においては主にPrSb2に対して低温・高圧・高磁場の3つのいわゆる複合極限状態においてメタ磁性転移をはじめとして反映磁性転移や電荷密度波の存在など物理的に多くの興味ある側面があり今後の研究が待たれる。
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