研究課題/領域番号 |
08226101
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
冨永 靖徳 お茶の水女子大学, 理学部・物理学科, 教授 (00013540)
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研究分担者 |
溝口 幸司 大阪大学, 工学部・応用物理, 助手 (10202342)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 水の動的構造 / ラマン分光 / 電解質水溶液 / 正水和 / 負水和 / 粘性 |
研究概要 |
正および負の水和をする電解質水溶液系の低振動数ラマンスペクトルの温度変化を、水の低振動数ラマンスペクトルと比較することにより、電解質水溶液中での水の動的構造と、正水和と負水和との関係を明らかにすることを目的として研究を行った。 正水和をする水溶液としてNaCl水溶液、負水和をする水溶液としてKCl水溶液とRbCl水溶液を用いた。各水溶液の濃度は、溶質の水に対するモル比で0.02から0.08であり、測定温度範囲は、過冷却状態の温度(約260K)から約340Kである。 低振動数ラマンスペクトルを、ボ-ズ因子で補正すると系の動的感受率の虚部χ″(ω)を得ることができる。250cm^<-1>以下のχ″(ω)を、2個の減衰振動モードと1個のCole-Cole型の緩和モードの重ね合わせでフィッティングし、緩和時間を解析した。 NaCl水溶液中の水の緩和時間は室温付近では水の緩和時間より遅いが、温度の低下と共に水の緩和時間との差が小さくなる。RbCl水溶液中の水の緩和時間も室温付近では水の緩和時間より遅いが、温過冷却温度の約260K付近で逆転し、水より緩和時間が短くなるという新しい結果を得た。すなわち、RbCl水溶液においては、低温で水の構造を破壊する傾向にある。このように、粘性に現れる正/負の水和の現象が、過冷却状態の水溶液の低振動数ラマンスペクトルを測ることによって、水溶液中の水の動的構造を示す緩和時間に出現してくることがわかった。また、NaCl,KCl,RbCl水溶液の緩和時間を温度の逆数でArrhenius plotすると、KClの緩和時間の温度変化が、高温ではNaCl水溶液に近い値をとり、過冷却状態を含む低温ではRbCl水溶液に近い値をとることがわかった。これは、電解質水溶液系における水の動的構造を考えるうえでの新たな知見である。
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