いわゆる格子気体モデルにおける構造緩和の研究を行った。すでに行われていた格子多体系で緩和を見た研究は過去に少なくないが、本研究計画では、すでに研究が行われていた一体モデルとの関連性に特に注目した。すなわち、格子上の各粒子がそれぞれランダムウォークを行うモデルを考え、パーコレーション・クラスター上の一体ランダムウォークモデルとの類似性等について考察した。 最も単純な粒子間相互作用、すなわち、すでに他の粒子によって占有されている格子点には移動できないという相互作用のもとでは、一体モデルで見られるような異常緩和は観測されないことはしられていた。従って一体モデルは、この最も単純な格子気体モデルを一体化したものと捉えることは出来ない。ところが、同じモデルで、(例えば、質量の異なる異種粒子の混合系などを想定し)一部の粒子を固定させた場合には、固定する粒子の数を多くするに従って異常な緩和が見られるようになる。これは固定された粒子群が、動ける粒子を長時間にわたって局所的な領域に閉じ込めることによる。 また、粒子間に引力などの相互作用を取り入れた系も調べた。これらの系でクラスターが作られ、系の中に固定された粒子が自発的に形成されることにより、異常な緩和が見られるようになることを期待した。各種の形の相互作用を試してみたが、その範囲では、期待した現象は見られなかった。
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