研究概要 |
1)非平衡系統計力学のモデルとして、左右への跳びの確率が異なる模型(1次元非対称排除模型)を考察した。両端より粒子が出入りできるとする。まず、一般的な場合に分子場を適用した。第2に、左右への跳びの確率が同じ場合に厳密な解を得た。第3に、その解の周辺の振動論的計算を行なった。これにより、境界近くでは、分子場理論による密度の形は正しくないことがわかった。 2)1次元非対称排除模型に対する.新しい「動的行列積仮説」を導入した。解は、時間依存性のある行列と時間依存性のない行列を使って積の形に書かれる。それらの行列がみたす代数を用いて、非対称排除過程に対するベ-チ仮説方程式が導びかれた。そして、1次元ハイゼンベルグXXZ模型との関係を議論した。 3)2種類の粒子A,Bからなる反応拡散系mA+nB→中の性質を場の理論を用いて解析した。その結果、この系の臨界次元は4/(mthtl)であること、この臨界次元以下の次元では、粒子数の減少はm,nの値によらず、〜t-u/4のように振舞うことがわかった。そして数値実験を行ない、これらを確認した。また、別の反応拡散系A+B→Aに対しても同様な解析が有効であり、従来の結果を再現することが分かった。 以上のように、非平衡統計力学の視点から排除模型を解析し、また、場の手法を使って反応拡散系の動的振舞いを議論し、多くの成果を得た。
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